焦点:新型コロナ後の景気回復、V字かU字かナイキのロゴか

ロイター
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北京の夜景
新型コロナウイルスの感染流行に伴うロックダウンの後、世界経済の回復はどのような形状になるのだろうか。写真は北京で7日撮影(2020年 ロイター/Thomas Peter)

[ロンドン 9日 ロイター] – 新型コロナウイルスの感染流行に伴うロックダウン(都市封鎖)の後、世界経済の回復はどのような形状になるのだろうか。急回復のV字形か、緩やかなU字形か、いったん回復した後に2番底に入るW字形か─。

50人強のエコノミストを対象にしたロイター調査で、今年の世界経済の成長率予想は平均でマイナス1.2%。レンジはマイナス6%からプラス0.7%だ。

INGリサーチのマクロ部門責任者カルステン・ブルゼスキ氏は、現在を「ウイルス主導の氷河期」と名付け、「わずか数日か数週で経済活動が100からゼロへ急停止した」と指摘、先行きを見通すのは極めて難しいと語った。

今後の展開で議論されているシナリオは次のようなものだ。

1.V字

成長率が急低下するが、回復も急な最善のシナリオだ。今年第2・四半期の国内総生産(GDP)は過去数十年間に見られなかった規模のマイナス成長になる可能性が高い。だが全世界で10兆ドルを超える財政と金融の経済対策が導入され、同じぐらいに急速な景気回復を助ける可能性がある。

ナットウェスト・マーケッツのグローバルエコノミクス部門の共同責任者、ロス・ウォーカー氏は「第3、第4・四半期は経済活動の再開に伴い、かなりの回復が見込める」と話した。

2.U字

U字回復では景気回復に数四半期以上の期間を要する。世界経済が08-09年当時よりも急速に深く収縮するとすれば、これが最も可能性の高いシナリオかもしれない。

U字回復はINGのブルゼスキ氏の基本シナリオだ。同氏は、ロックダウンの影響は解除後もしばらく続くと予想。「ロックダウンは緩やかに緩和され、社会的距離は保ち続けられ、観光産業の打撃は続く可能性が高い」と語った。

3.W字

ロックダウン措置が緩和されれば当初は経済活動がいったん活発化するが、失業と企業の経営破綻の影響がその後、浸透し始める。

新型コロナの感染が再燃した場合も、景気はこの形になるかもしれない。

4.L字

成長率が急激に落ち込んで、しばらくは回復しない場合がL字だ。

世界の新型コロナ感染が増え続け、ロックダウンが長期化を余儀なくされるような場合だ。

新型コロナの世界の感染源とされる中国・武漢でロックダウンがたった約2カ月で解除されたことを踏まえると、L字は考えにくいかもしれない。

だが、大規模な経済対策を発動する余力が小さく、コモディティの輸出に依存することが多い新興国にとっては、L字形が起きるリスクがあるかもしれない。

5.ナイキ社のロゴマーク

ベレンベルグのエコノミスト、フロリアン・ヘンス氏は「当社はL字、U字、V字のいずれでもなく、チェック済みの印のような形の回復を予想する」と話した。

景気が急速に落ち込んだ後、回復は少しずつになる形だ。ロックダウンが導入時に比べてもっとゆるやかに緩和されていくことを想定する。

アクサ・インベストメント・マネジャーズのチーフエコノミスト、ギレス・モエク氏はスポーツ用品メーカー、ナイキのロゴマークに似た形で説明。「貯蓄性向が高まって消費支出が打撃を受け、投資が大きく抑制される可能性があるため、ロックダウン後の世界経済の回復は極めて弱々しいというのが最も可能性の高いシナリオだ」との見方を示した。

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