落語家・立川志ら乃のスーパーマーケット徒然草 第8回上野の「業務スーパー」で打ち上げ!
なんでそんなに詳しいんだよ…縄四楼の「業務スーパー通」ぶりに嫉妬
とにかく「業務スーパーめちゃくちゃ行きたいです!」
ということになり、楽屋にいたすべての前座さんと「業務スーパー上野広小路店」へ。私自身、業務スーパーにほぼ入ったことがなかったので緊張気味でしたが、入口横で「キャラメルコーン」が58円の特売価格で売られているのを見て”スーパーモード”に突入。
「よし!みんな好きなものを好きなだけカゴに入れろ!」
と、鼻息荒く店内へ。
そして縄四楼に「お前がよく買う物教えて」と聞くと、「このジュースを買いますね」と「近藤乳業」の紙パックのジュースを指差しました。「パインが好きなんですけど、人気で在庫が切れてることが多いんですよね」と業務スーパーに通っていることを裏付けるようなコメントも添えて。
一緒に行った人がよく買っているものを買ってみるというのもスーパー打ち上げの醍醐味なのですが、現在46歳、立川流では「真打」という身分の私は紙パックのジュースなら「トロピカーナ」、しかもストレートの「ピュアプレミアム」なども飲んでいるという生意気な生活を送っているので、1本80円台のジュースは今あまり飲みたくないなと思ってしまい、その場で私はカゴに入れなかったことをここに告白します。
そんな近藤乳業のジュースをカゴに入れなかった自分の器の小ささを払拭するべく、次に縄四楼が勧めたものは絶対にカゴに入れようと、
「縄四楼的にここでのオススメは何?」と聞くと、
「冷凍のシーフードミックスですね。それと餃子…あぁニラ餃子は売り切れか…」
それまでどこか見くびっていたとはいえ、「スーパー好き」を自称している私よりも縄四楼のほうが業務スーパーに関しては詳しいという事実に嫉妬心を覚えつつ、諸々のオススメ商品をカゴに入れレジへ。同行者も自分の選んだものを自分のカバンにしまい帰路へとつきました。
シーフードミックスが縄四楼に盗られた!
しかし家に帰って購入品を写真に撮ろうとしたら…シーフードミックスがない!! 後日、私のシーフードミックスを持ち帰ったのが縄四楼であることが判明したのです。
「いつも買っているので、つい自分のカバンに入れてしまいました」
「パスタと一緒に食べる時、あれ?これはいつ買ったんだっけ?って少しだけ思いました」
と御託を並べる縄四楼。しかし私としては、人生において「冷凍のシーフードミックスを盗まれる」という貴重な経験を与えてくれた縄四楼に感謝するとともに、前座さんとの会話の糸口をつくってくれ、以前よりもはるかにコミュニケーションが取りやすくなったというスーパー打ち上げの効力を再認識するきっかけとなりました。
そんなこんなで、街中で目を引く緑の看板と「スーパー」に「業務」という言葉を加えた屋号を掲げ、激安商品をおもしろく提案し訴求するという商売人のセンスとたくましさを、業務スーパーには感じております。
あと、近藤乳業の安いジュースも近々買います。
立川志ら乃
1974年2月24日生まれ。98年3月、立川志らくへ入門。2012年12月に真打ち昇進。16年7月に「スーパーマーケットが好きである」ことを突如自覚。スーパーに関する創作落語に「グロサリー部門」「大豆なおしらせ」など。
Twitter:@tatekawashirano
ブログ:https://ameblo.jp/st-blog/