「丸亀製麺」の第1号店を訪ねて兵庫県加古川市へ ”グローバルうどんチェーン”の源流をたどる

2025/05/26 05:00
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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有力チェーンの源流をたどるシリーズ。これまで大阪府茨木市の「なか卯」、京都府京都市の「餃子の王将」などを紹介してきた。今回訪れるのは、うどん専門店「丸亀製麺」の1号店である。店名から讃岐うどんの本場、四国を想像するかもしれないが、実際に降り立ったのは兵庫県加古川市だ。地元の見どころにも触れつつ、その現場へ向かうことにしよう。

有名讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」の源流を訪ねる
有名讃岐うどんチェーン「丸亀製麺」の源流を訪ねる

丸亀製麺の原点「棋士のまち加古川」

 加古川市は兵庫県南部の、ほぼ中央に位置する都市。南側は播磨湾に面し、西側は姫路市と接しており、江戸時代には参勤交代の宿場町として栄えた歴史を有している。現在の人口は約26万人で、県内では第5位の規模である。

 実は、同市は将棋が盛んな土地としても知られる。ゆかりの棋士が7人もおり、幅広い世代の熱心なファンが多い。さまざまなイベントや教室も開催されている。

 私が降り立ったのはJR「加古川」駅である。駅前には「棋士のまち加古川」と記されたポスターやのぼりがあちこちで見られ、市が観光資源として将棋を積極的にPRしている様子がうかがえる。

降り立ったのは兵庫県のJR「加古川」駅
降り立ったのは兵庫県のJR「加古川」駅
加古川市は「棋士のまち」として有名
加古川市は「棋士のまち」として有名

 今回訪れるのは、うどん専門チェーン「丸亀製麺」。店名から讃岐うどんや四国を連想する人も多いだろうが、実は1号店は加古川市にあるのだ。

 丸亀製麺の創業者である粟田貴也氏は、讃岐うどんの聖地・丸亀市で、できたてうどんを提供する製麺所に多くの人が並んでいた様子から着想を得て、この名を冠した。同氏は香川県出身の父を持ち、幼少期から讃岐うどんに親しんできた。加古川市で焼き鳥店を先に開業した経験もあったため、セルフ式うどん店「丸亀製麺」の1号店を加古川市にオープンさせたという。

 これらの背景を知ると、1号店への興味が一層深まる。駅近くの加古川観光協会を訪れると、市にゆかりのある著名人のサインが飾られており、粟田氏の色紙もあった。そこには「丸亀製麺の創業地 加古川から世界へ」と記されており、ビジネスに懸ける熱い思いが伝わってくる。

加古川観光協会にあった丸亀製麺の創業者、粟田貴也氏のサイン。職員の方に許可を得て撮影
加古川観光協会にあった丸亀製麺の創業者、粟田貴也氏のサイン。職員の方に許可を得て撮影

 観光協会を後にした私は、いよいよ1号店へと向かう。どのような店であるか期待に胸を膨らませると、足取りは自然と速くなった。

 

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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