「パラサイト」監督が語る新型ウイルス、人間の心理がより恐怖

ロイター
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ソウルで会見するジュノ監督
2月23日、今年のアカデミー賞で外国語映画として初の作品賞を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督は都内で会見し、新型コロナウイルスの感染拡大について、人々の心理が作り出す不安や人種的偏見がより恐ろしいとの考えを示した。写真は受賞後、韓国ソウルで会見するジュノ監督。2月29日撮影(2020年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[東京 23日 ロイター] – 今年のアカデミー賞で外国語映画として初の作品賞を受賞した映画「パラサイト 半地下の家族」のポン・ジュノ監督は23日、都内で会見し、新型コロナウイルスの感染拡大について、人々の心理が作り出す不安や人種的偏見がより恐ろしいとの考えを示した。

ジュノ監督は2006年公開の作品「グエムル─漢江の怪物─」で、実際に存在しないウイルスを巡って人々がパニックに陥り、そこから起こる騒動を描いた。

「実際のウイルスや細菌が体内に入るという恐怖以上に、人間の心理が作り出す不安や恐怖の方が大きい」──ジュノ監督は会見でそう指摘した。「心理的な不安や恐怖に巻き込まれ過ぎると、災害を克服することが難しくなる」

その上で、「映画と違い、今は実際にウイルスが存在しているわけだが、このウイルスをあまり恐れすぎて、過度に反応したりすれば、もっと恐ろしいことが起きる。そこに国家的、人種的な偏見を加えてしまうと、より恐ろしいことが起きる」と述べた。

「パラサイト」は、貧しい家族がIT企業を経営する金持ち一家に「寄生」していく様子を通し、韓国における格差社会を描き出した。アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の4つを受賞した。

日本では1月11日から公開。2月22日時点で、観客動員が220万人を超え、興行収入は30億円を突破。日本における韓国映画の歴代興行収入で「私の頭の中の消しゴム」を15年ぶりに抜きトップとなった。

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