アニメーション映画「崖の上のポニョ」のモデル、広島県福山市・鞆の浦で地魚に舌鼓
鞆の浦の地魚 地元で水揚げされた鯛料理を味わう
店内にはカウンター席のほか、4人掛けのテーブルが2卓が置かれている。こじんまりとしているが、落ち着けそうな隠れ家的な雰囲気が気に入った。
カウンターに座った私は、早速、お品書き見て何を食べるかを検討する。鞆の浦で有名な魚といえば鯛。店員のお姉さんに聞くと、鯛、さらに舌平目などは地元で朝、水揚げされたものを使っているらしい。悩んだ結果、看板メニューの「幸さん定食」に決めた。

料理を待つ間、店内を観察すると、私以外の2組は外国人観光客だった。欧米系で、いずれも店員とコミュニケーションを取る時、日本語を話していたから、かなりの日本通なのかもしれない。
10分ほどで届いたのがこの料理。どうですおいしそうでしょう。


味噌汁で口を潤した後、まずは立派な鯛の塩焼きから。箸で少し身をとり口へ、うん、おいしい。続けて鯛の刺身。地物との情報を得た効果もあり、かなり美味だった。ちょっとずつ盛られている煮物なども最高、無心で食べた。そして完食、ごちそうさまでした。
お腹がいっぱいになり、しばらく呆然としていた。少し時間が経って正気を取り戻した後、店を出てまた歩き始めた。次なる目的地があったためだ。
行き先は「仙酔島」(せんすいじま)。鞆の浦から5分で着く無人島で、1934年、日本初の国立公園に指定された「瀬戸内海国立公園」を代表する名勝地だ。島名には、「仙人も酔ってしまうほど美しい島」という意味がある。

連絡船で海を渡る間、デッキに出て風を浴びると気分がよかった。あっという間に到着、島内を歩き始めた。私以外にあまり人はおらず、ほぼ貸切状態である。何もない場所の土をただ踏みしめるのは贅沢な時間だった。

歩きながら、約400年前、伏見城の一部を積んだ船が鞆の浦に着岸した光景を想像していた。