カレー消費量が実は全国トップクラスの鳥取市 スパイスで楽しむ「薬膳カレー」を食す

2025/05/12 14:08
森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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ユニークなスパイスとともに味わう「やくぜんカレー」

 店内はこじんまりとしており、木の温かみが感じられる内装。昼時が過ぎており、お客は私ともう一人の女性だけだった。

 早速メニューを一通り見て、「やくぜん牛すじカレー」とサラダを注文した。この店のメニューにはいずれも「やくぜん」がついている。漢字で書くと「薬膳」だが、中国の伝統医学である中医学に基づき、食材や漢方薬を組み合わせた料理を意味する。この店では、カレーを薬膳として提供しているようだ。

この店では、カレーを「薬膳」として提供しているようだ
この店では、カレーを「薬膳」として提供しているようだ

 興味深いのはテーブルの一角に、各種のスパイスが置かれていることだ。「二日酔い」「胃腸虚弱」「激辛です」など、フタの部分に効用や特徴を説明したタイトルがついている。中には「恋愛」「人に疲れたみたい」というのもあった。自分が気になるものをかけ、食べるといいようだ。

テーブルの一角に置かれたスパイス
テーブルの一角に置かれたスパイス

 最初、サラダが来て、78分後に料理がやってきた。どうです、おいしそうでしょう。早速、スプーンで適量をすくい、口へ。思ったよりスパイシーではなく、食べやすく、深みのある味わいだ。慣れてきたところで「胃腸虚弱」とか「風邪気味かな?」と書かれているスパイスをかけ、味変しながら食べ進めた。そして完食。ふー、おいしかった。

想像よりスパイシーではなく、とても深みのある味わいでおいしい
想像よりスパイシーではなく、とても深みのある味わいでおいしい

 食後、スマホでなぜ鳥取ではカレーがよく食べられるのかを検索した。すると、いくつかの理由が出てきた。

 ひとつは「米どころだから」。鳥取県は古くから米の産地として知られ、おいしい米が手に入りやすい環境が、カレーと相性がよかったというもの。

 「共働きが多い」というのもあった。全国でも共働きの家庭が多く、作り置きできる料理としてカレーが重宝された。またカレーの付け合わせとして定番の、らっきょうの生産が日本一という説も有力。どれも説得力があり、なるほどと思った。

 お腹がいっぱいになり大満足である。私は幸せな気持ちで店を後にした。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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