今回は京都府北部の舞鶴市にある道の駅で食事をするというお話である。同施設では、日本海に面している地の利を生かし、鮮度がよく、おいしい魚をリーズナブルな価格で提供している。周辺には古い街並みはじめ魅力的な名所も多く、観光も楽しめる。では早速、案内することにしよう。

歴史ある街を自転車で巡る
向かったのは舞鶴市。道の駅の最寄駅はJR西日本舞鶴線の「西舞鶴」駅で、京都駅から特急「まいづる」に乗れば1時間半で到着する。
駅前から路線バスが出ているが、動き回りたいため、今回は自転車を選択した。駅舎の一角にある「まいづる観光ステーション」に寄り、レンタサイクルを申し込む。料金は、最初の2時間まで500円、以降は1時間につき100円が追加される設定で、数時間の利用ならリーズナブルだ。
駅を起点にまず向かったのは、駅前交差点から北西300mにある商店街「サンモールマナイ」である。マナイとは不思議な響きだが、漢字は「真名井」と書き、昔から名水が出ることで知られている。

立派なアーケードが整備されてはいるものの、多くの店は閉まっている。残念ながら全国の商店街と同様、シャッター通りになっていた。しかしよく見ると、雰囲気のある外観の店も多く、大いに栄えていたであろう往時を想像することができる。
そのひとつは創業1903年(明治36年)の銭湯「若の湯」。洋館風の重厚な造りで今も営業しており、地域の方に親しまれている。国の登録有形文化財に指定されているのも納得で、このエリアを象徴する建物だ。歴史ある土地の街巡りは、こんな出会いがあるからやめられない。

商店街を少し西に外れると、お寺が並ぶ伝統的な街並みが広がる。実は同じ舞鶴市でも今回の「西舞鶴」は、歴史があり、保守的な考え方の人が多いと聞く。
一方の「東舞鶴」は明治時代、海軍の拠点である軍港として栄えた場所。今も自衛隊の基地が置かれ、新しい技術を取り入れる進取の精神に富んだ土地柄と言われる。両地域は対照的で、いずれ東舞鶴にも足を運びたいと考えている。
さて、お寺が広がる地域を北上すると、海が近づいてくる。漁師町の一角にある「吉原入江」は、家の前に船が浮かび、写真映えするポイントとして人気が急上昇している。「東洋のベネチア」と表現されることもあるらしい。自転車を押しながら周辺をしばらく散歩した。
動き回り、お腹が減ったところで目的地に向かう。高鳴る気持ちを抑えきれず、私はペダルを踏み込んだ。
新鮮な海鮮をいただく
もう一度南下、海に沿って走る国道を西へ数分進むと、お目当ての道の駅「舞鶴港 とれとれセンター」が見えてきた。立派な外観だ。
施設内には、鮮魚を扱う多くの店が並び、市場のような活気ある雰囲気である。店頭には地元の舞鶴や近隣の漁港で水揚げされた旬の新鮮な魚がずらりと並ぶ。
この「海鮮市場」ゾーンの面積は480坪で、日本海側で最大級の規模を誇る。公式Webサイトによれば「京都府随一の水揚げを誇る京都府漁協舞鶴魚市場の鮮魚仲買人が4人出店していますから、新鮮さ・安さ・種類の豊富さはどこにも負けません」とあり、期待が膨らみまくる。
早速、品定めをして歩く。どの店も人が立ち、質問するとすぐに教えてくれる。会話しながらの買物はなかなか楽しい。買った魚は、お願いするとその場で焼き、各所に設置されているテーブル席まで運んできてくれる。
悩んだ末、イカ、あわび、ホタテ、ふぐを注文。調理してもらっている間、施設内にテナントとして入っている飲食店へと向かう。「ごはんとみそ汁」セットを購入するためだ。焼き上がった海鮮と組み合わせることで、定食のように楽しめるシステムとなっている。
テーブルで待機していると、届けられたのがこれ。どうです、おいしそうでしょう。なお某誌の編集長と一緒で、2人前である。
最初は、ホタテから。湯気とともにおいしい海の旨みを含んだ香りが鼻腔を刺激する。頬張ると、一気に食欲が急上昇した。すぐにお椀を取り、箸を高速で動かし、ほかほかの白ご飯を掻き込む。いかん、ペースをコントロールしなければ、すぐにご飯がなくなってしまう。
その後はイカ、あわび、ふぐ、時々、みそ汁をはさみながら順に食べ進め、見事、フィニッシュした次第である。もうお腹はいっぱいである。私は天井を見上げ、しばらく放心状態になっていた。
幸せな気持ちに包まれながら、われわれは道の駅を後にしたのだった。