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「佐世保バーガー」でも「レモンステーキ」でもない、長崎・佐世保で食べるあの定番メニュー

長崎県佐世保市にやってきた。取材前に何か食べようと、まず頭に浮かんだのは名物の「佐世保バーガー」、次に「レモンステーキ」。しかし長崎と言えば、なんといっても「ちゃんぽん」である。ここ佐世保にもおいしい店があるとの情報を得て、足を運んでみることにした。

佐世保にある「ちゃんぽん」の人気店「香蘭」

「ミシュランガイド」にも掲載

 JR九州佐世保線の「佐世保」駅に降り立つ。

JR九州佐世保線の「佐世保」駅に降り立つ。京都から5時間半かかる
木製の看板には「日本最西端 佐世保駅」と記されている

 私が住む京都からだと5時間半かかる。今回は、翌日に名古屋方面でアポイントがあるため日帰りの予定。まさに弾丸ツアーといってもよいハードスケジュールである。

 長崎と京都は遠く離れているが、実は軍港として栄えた歴史がある点で共通する。旧海軍の拠点である鎮守府が置かれたのは佐世保、舞鶴(京都府)のほか横須賀(神奈川県)、呉(広島県)。この4つの市は、「鎮守府 横須賀・呉・佐世保・舞鶴 ~日本近代化の躍動を体感できるまち~」として「日本遺産」に認定されている。

 さて時計を見ると午後0時半。取材がスタートするのは午後2時であるが、せっかくだから現地で昼食をとるため早めに到着したのだった。

 事前調査によると、佐世保の食べ物で有名なのは「佐世保バーガー」。ボリューム感あふれる手づくりのハンバーガーである。調べると、朝鮮戦争の特需に沸いた1950年頃、米軍関係者からレシピが伝わったことが佐世保のハンバーガーの始まりだという。

 「レモンステーキ」も有名である。1960年初頭、佐世保の老舗レストラン「時代屋」の初代オーナー兄弟が、お客から「夏場でもさっぱりと食べられる肉料理」とリクエストされ、開発したメニューである。

 いずれも魅力的ではあるが、この日は私の気分が首を縦に振らなかった。ほかに何かないものかとスマホで検索、これだ!と思ったのが「ちゃんぽん」。胃袋が要求しただけでなく、場所も「佐世保」駅からすぐというのも決め手になった。

 駅舎に隣接する高架下の「ろくてん通り」という飲食ゾーンにある「香蘭」が本日の行き先である。「ミシュランガイド」にも掲載されたという人気店で、期待が高まる。なお、創業は1968年。

午後1時過ぎに行くと、割とすぐに入れた

 昼時は行列ができるため、午後1時過ぎまで近くで待機することにした。その時に見つけたのが、駅出入り口横に掲げてある木製の看板。「日本最西端 佐世保駅」と記されている。ほぉ、日本で最も西にある駅なのか、知らなかった。

 あれこれ見物している間にちょうどよい時間となる。店の前に行くと割とすぐに入れた。ラッキーである。

店の奥に近い角の席に座った

長崎ちゃんぽんの実力は

 店内は、厨房を中心にカウンター17席がぐるりと取り囲むように配置されている。私は女性店員の案内により、奥に近い角の席に座った。

 注文したのは「長崎ちゃんぽん 玉子入り」(税抜955円)。料理が来る間、周囲を観察すると男性客が中心だが、少数派ながら女性も座っている。年齢層はまちまちで、幅広い層から支持されているのがわかる。

「長崎ちゃんぽん 玉子入り」。具材がたっぷりで麺はほとんど見えない

 78分後、目の前に料理が置かれる。具材がたっぷりで麺はほとんど見えない。その真ん中に生卵が落とされている。いい感じだ。

 早速いただく。まずはスープから。説明書きによると「創業以来半世紀 毎日継ぎ足し守り続けた『自家製スープ』に『名産九十九島カキ』を使用しまろやかに仕上げた『本場長崎ちゃんぽん』です」とのこと。レンゲで少量をすくい、口へ。うん、おいしいぞ。想像よりも薄味ながら味わい深い。

まずはスープから

 次は麺。割り箸で太い麺をつかみ、少し冷ました後に食べる。期待通りのおいしさ。あぁ、これは幸せだ。具材はエビ、豚肉、イカ、キャベツ、キクラゲ、かまぼこ、ニンジンと、山盛りである。もう夢中になって食べ、そしてすべて平らげた。ふぅ、最高の気分だ。

 店を出てから取材現場に向かい、スムーズに仕事をこなした次第である。

 なお「佐世保」駅周辺は、見どころが多いことを記しておく。駅の裏側は佐世保港で、すぐそこに海が広がっている。多くの船が停泊しており、とても眺めがよい。

駅の裏側は佐世保港で、すぐそこに海が広がっている

 駅から徒歩10分のところにあるのは「させぼ四ヶ町商店街」。長さは960mで、「アーケードが切れ目なく続く」という点で日本一を誇る。そこに約200もの店舗が並んでおり、散策するだけでも楽しい。

アーケードが切れ目なく960m続く「させぼ四ヶ町商店街」。長さで日本一を誇る

 佐世保に来る機会があれば、「ちゃんぽん」はもちろん、ぜひ各地を巡ってほしい。