[北京 25日 ロイター] – 中国住宅都市農村建設省は25日、賃貸住宅市場の金融リスク抑制に向け、賃貸業者への融資基準を厳格化するとともに、業者の賃貸料収入に占める入居者の借り入れの割合を30%に制限する方針を明らかにした。
同省はウェブサイトに掲載した指針で、中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)など他の5つの政府系機関と連携して住宅賃貸業者を従来よりも適切に規制し、入居者の権利を守ると表明した。
「住宅賃貸事業向け融資の条件と規模に関する要件を明確にする」とし、高リスクな事業モデルを持つ賃貸業者の監視を強化する方針も示した。高リスクな手法として、市場のシェアを拡大するために、賃貸料の見込み額を上回る金額を住宅所有者に支払う例を挙げた。
中国の賃貸住宅市場はこれまで、ほとんど規制されておらず、急速な拡大とともに予期せぬ金融リスクが生じていた。
中国政府は2017年以降、住宅価格の高騰を受けて、賃貸住宅市場の拡大を積極的に促してきた経緯がある。
同省は、賃貸業界が「無秩序な」発展を遂げていると指摘。誤った情報の掲載、ローンの乱用、不正な保証金の差し押さえ、強制退去といった問題点を挙げた。
今後は、金融リスクを抑制するため「賃貸住宅事業向けの融資の条件・規模について明確な規定」を導入し、リスクの高いビジネスモデルを展開している住宅賃貸業者の管理を強化する。
リスクを最小限に抑えるため、家賃収入と保証金を入金する「資本監視」銀行口座の開設を住宅賃貸業者に求める。銀行は、賃貸業者の返済能力を慎重に査定し、ローンの利用状況を厳しく点検することが求められる。
住宅賃貸業者が売掛債権(家賃収入)を担保にして融資を申請することは可能だが、融資の条件はリース契約に基づいて決定し、リースの期間と一致させる必要がある。
ロイターは昨年、浙江省杭州の賃貸会社「鼎寓」が破産したと報道。これが同セクター初の大規模倒産となった。
同社の経営者は破綻の理由について、市場が急速に拡大したためと説明。入居者は、消費者金融会社と1年間の消費者ローン契約を結んで家賃を支払うことを鼎寓から求められおり、鼎寓が破産した後、入居者にもローンが残った。