日本経済新聞社グループの日経BPは、経営情報誌「日経ビジネス」のほか、「日経アーキテクチャ」「日経エレクトロニクス」など多くの技術情報誌を発行している。その日経BPの専門誌編集長30人が、ビジネスパーソンが知っておくべきテクノロジー100件を厳選し、解説付きでまとめたのが本書である。
本書の目次を開くと、「5G」「量子コンピューター」「AI」「IoT」といった新聞やニュースサイトでたびたび目にする単語のほか、「NMI」「GAN」などあまり耳慣れない専門用語のような言葉も並ぶ。
ちなみに、「NMI( Neuron Machine Interface)」は皮膚に貼り付けたセンサーで神経伝達信号の電位を検知する、アシストスーツなどに使われている技術、「GAN(Generative AdversarialNetwork)」はロボットの学習に使われる技術だそうだ。
なかでも本誌の読者にぜひチェックしてほしいのが、本書の第3章だ。「体験が変わる」と題したこの章では、タイトルの通り、利用者の体験をガラリと変えてしまうような技術を解説している。
自動運転を中央から管理するという「車載AIコンピューター」のページでは、トヨタ自動車、ボルボらが開発中の自動運転技術について解説。両社とも2020年代前半での実用化をめざすとしており、これが実現すれば流通各社の共通課題である物流の効率化に大きく寄与するはずだ。
また、「パワードスーツ」「ハイブリッド」といった作業者を支援する“人間拡張”技術も本誌読者のビジネスに貢献すると思われる。そのほか、「スマホ決済」「Libra(リブラ)」など、昨年から流通業界を賑わせているキャッシュレス決済に関する技術も解説している。
「高度に進化した技術は魔法と区別がつかない」──。
本書冒頭では、SF作家アーサー・C・クラークの言葉を引用している。本書で予備知識を仕入れておけば、「魔法」のように思える技術も自身が手がけるビジネスに生かせるヒントに見えてくるのではないだろうか。