[ニューヨーク 19日 ロイター] – 米経済団体ビジネス・ラウンドテーブルは19日、米経済界は株主だけでなく従業員や地域社会などすべての利害関係者に経済的利益をもたらす責任があるとする声明を発表した。
「企業の目的」を表明したこの声明にはアマゾン・ドット・コムやアメリカン航空、JPモルガン・チェースの最高経営責任者(CEO)など180を超える米企業のトップが署名した。
象徴的な意味合いが強いものの、約30年にわたって企業は株主の利益のために存在するとしてきた視点から大きな転換となる。
背景には、米民主党の大統領選候補者などから企業の責任拡大を求める声が強まっている状況がある。
ビジネス・ラウンドテーブルの会長を務めるJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、米国では貧富の差が拡大しており、すべての利害関係者を重視することがより健全な経済につながるとの見方を示した。
同氏は声明で「アメリカン・ドリームは生きているが、揺らぎつつある」とし、「大手の雇用主は従業員や地域社会に投資している。長期的な成功にはそれが唯一の方法だと知っているからだ」と指摘した。
声明では、公正な賃金や「重要な手当て」の提供を通じた従業員への投資、地域社会への支援と「環境保護」など5つのコミットメントを挙げた。
MITスローン・スクール・オブ・マネジメントのバーバラ・ダイアー教授はビジネス・ラウンドテーブルの声明について、上場企業で現在当たり前になっているさまざまな決定のベースに株主第一主義があったことを踏まえれば、非常に大きな意味を持つ可能性があると指摘した。ただ、実際に転換点となるかは不透明で、例えば幹部報酬などの大幅な見直しが行われるかどうかは疑問だとの見方を示した。