あらゆるものが値上がりしている昨今、物価の上昇に給与アップが追い付かず、実質的な賃金は低下傾向にあります。天井の見えない「値上げラッシュ時代」を切り抜けるため、家計の財布を握る主婦たちは、どのような視点で買物をしているのでしょうか。連載第2回は、3人の子どもを育てる主婦として日々やりくりに奮闘する筆者から見た、値上げ時代の主婦の心理と行動を、青果と鮮魚にフォーカスして解説していきます。
何でも値上げ時代における「青果」の選び方とは…
最近の値上げラッシュに敏感な主婦であれば、値上げの影響が少なく比較的安価で、なおかつ新鮮な旬の青果に自然と目が行くはずです。
以前に比べて、輸入物の青果が高くなったと感じることが増えたため、野菜であれば国産商品や特売価格の商品からまず確認しています。大きな文字で「特売」と書かれている青果を見つけると、立ち止まってその野菜を使った献立をイメージし、購入するか検討します。すぐに献立をイメージしやすい野菜であればそのままカゴに入れますが、わが家の献立のレパートリーにはあまり登場しないような、使い回しが難しいと感じる野菜は特売になっていても購入をためらいます。そのような商品は、使い切りのための献立などが売場で提案されていると購入しやすくなります。
果物の場合も、国産ものや特売価格の商品から確認します。まず大容量で1個当たり単価の低い商品をチェックし、新鮮なうちに食べきれる量かを確認してから購入しています。
青果の少量パック販売が来店動機に
意外と役立つのが、青果の少量パックやバラ売りです。少しだけ使いたいもの、あるいは日持ちしにものは、多少単価が高くても少量パックやバラ売りであれば、さまざまな種類を購入できます。総合的にみると、より彩り豊かで、かつボリュームのあるメニューがつくれるように感じます。
わが家の場合は、きのこ類、生野菜、傷みやすい果物などは大容量よりも少量パックを購入するようにしています。少量パックについては、取り扱いのない店舗もあるため、取り扱いのある店舗に優先的に行くようにしています。
「新鮮な青果をまるごと購入したい」という気持ちはあるものの、とくにサラダなどをつくる場合、複数の野菜を購入すると量が多すぎて5人家族のわが家でも使い切るのが大変です。冷凍品やカット野菜・カットフルーツの方が安価な場合、あるいは手間が少ないと判断した場合は、積極的に購入しています。冷凍野菜やカット野菜コーナーも確認しているため、それぞれのコーナーが近くにあると比較検討がしやすいと感じます。
精肉や鮮魚などに比べ、値上がり幅が数十円ほどであることの多い青果は、値上げラッシュの救世主ともいえる存在です。値上げラッシュに敏感な主婦であれば、値上がり幅の大きい精肉・鮮魚を買い控えるかわりに、旬の野菜でかさ増しして、食卓に上がるメニューがボリュームダウンしないよう工夫しながら買物をしているのではないでしょうか。
何でも値上げ時代における「鮮魚」の選び方
価格が上昇傾向にある鮮魚は、まとまった量を購入しようとすると、以前より明らかに高くなったと感じることが多いカテゴリーのひとつです。
世帯人数が少なく、少量で十分な家庭であれば影響はわずかな程度にとどまるかもしれません。しかし、世帯人数が多い、食べ盛りの子どもがいるなど、食事量の多い世帯にとって、価格上昇は家計に大きく影響します。5人家族で食べ盛りの子どもがいるわが家でも、以前はためらいなく鮮魚商品を購入していましたが、以前と同じ感覚で購入するのは難しいと感じることが多くなってきました。
そうした状況下で鮮魚を購入するときには、値上げの影響が少ないと感じる商品や旬のものを選ぶほか、特売や値引きシールの貼られた商品に手が伸びます。少しでも価格を抑えて購入できるとお得感があるため、割高と感じる鮮魚にも手を出しやすくなるのです。
また、少量パックにも魅力を感じます。世帯人数が多ければ、大容量パックが魅力的ですが、鮮魚はとくに鮮度が気になる商品ですので、青果と同様に少量パックの方が一度にかかる価格も抑えられるうえに、欲しい量だけ購入できるため便利と感じることが多くあります。
鮮魚は献立のなかでもメインとなる食材のひとつ。そのため、値上げによって食費の増加にも大きく影響します。値上げラッシュの中でどのように食卓を華やかにするか、買い手の工夫だけでなく、売場からの提案にも期待しています。
青果や鮮魚は、できるだけ新鮮なうちにおいしくいただきたいものです。大容量で安価な商品だけでなく、鮮度の良いうちに使い切れる少量パックも揃える、商品のバラエティが豊かで買物の楽しさを提案してくれる売場に魅力を感じます。