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「ヘルシー」がキーワード、オーストリアのスーパーマーケット、Spar!ビジュアル解説

 クラシック音楽で名を馳せる中欧のオーストリア。ドイツ語圏ということもあり、国内で展開する多くのスーパーが隣国のドイツ企業となっています。その中で、地元オーストリアのチェーン系列として奮闘する、「Spar(シュパー)」に迫ります。

赤い文字に緑のモミの木のイラストがシュパー系列のロゴ

シュパーは、どんなスーパー?

 シュパーは、オーストリア国内に1560店舗、海外に1594店舗を展開(2018年時点)する普通から高級志向のスーパーで、2018年度の総売上高は国内で約8370億円となっています。各街角の小規模店から日用品全般までを取り扱う大型店、高級食材に特化したグルメ店、テイクアウトを主に取り扱うコンビニ的存在までと、立地や客層によって形態が異なります。カトリック国のオーストリアでは、日曜日は安息日に当たるため、基本的に月から土曜日の営業となっています。加えて、オーストリアは「朝型社会」のため、朝の7時代から早々と開店する店舗がほとんどを占めています(編集部注 Sparはオランダに国際本部を置き欧州など各国でブランド展開がされているが、その経営は各国ごとに独立した法人が担っている)

 筆者が取材、訪問したのは大型店の「インターシュパー」です。自社ブランド品に力を入れていて、商品カテゴリーごとに廉価版から高級品、オーガニックやヴィーガン用までと幅広い年代や客層に対応している店舗です。

「テイクアウト商品」が充実する特有の理由

 それでは、店内を詳しく見ていきましょう。まずは、シュパー内で現在もっとも勢いのある3カテゴリーを紹介します。

従業員が目の前で切って詰めてくれる新鮮なサラダとフルーツボウル
cap:店内の機械で絞りたてを自分で詰めるオレンジジュースは大人気
従業員が目の前で切って詰めてくれる新鮮なサラダとフルーツボウル
cap:店内の機械で絞りたてを自分で詰めるオレンジジュースは大人気

 コンビニのないオーストリア、スーパーマーケットではランチタイムやピクニック用のテイクアウト商品の売れ行きが好調です。中でも、セレブシェフがプロデュースしたサラダやフルーツボウル、自分で絞ってボトルに詰めるオレンジジュース、Sushi(寿司)等のヘルシープロダクトが特に人気なのだそう。サンドイッチ類も標準仕様からヴィーガン向けまでバラエティ豊かです。パンには、ライ麦や全粒粉などから作られた黒パンが多用されているのが目を引きます。

カツレツも!豊富な「ベジタリアン・ヴィーガンプロダクト」

健康志向の高まりを受け好調なベジタリアン・ヴィーガン商品
オーストリアならではのヴィーガン版ウィーン風カツレツ
健康志向の高まりを受け好調なベジタリアン・ヴィーガン商品
オーストリアならではのヴィーガン版ウィーン風カツレツ

 ベジタリアン・ヴィーガン人口が多いオーストリアでは、専用コーナーも充実しています。ドリンクでは、豆乳をはじめ、ライス・ココナッツミルク、アーモンドミルク、燕麦から作られるオートミルクなど、日本では馴染みのない代用乳が充実。食品は、定番の大豆ヨーグルトに加え、大豆と小麦のプロテインから作られたステーキやソーセージ、ウィーン風カツレツといったお国柄たっぷりのものも。

世界中から集められたスパイスがスゴイ!

世界中から魅力的なスパイスが集められたコーナー
ザルツブルクの天然塩とオーガニックのハーブソルト
世界中から魅力的なスパイスが集められたコーナー
ザルツブルクの天然塩とオーガニックのハーブソルト

 トップセラーの一角をなすスパイス類の中で、注目すべきは塩です。モーツァルトの出身地で、ドイツ語で「塩の砦」を意味するオーストリアのザルツブルクでは、古くから岩塩が豊富に産出されるため、海水塩と同程度に流通しています。肉用、魚用、バーベキュー用、ハーブ入り、赤ワイン風味といった珍しいフレーバーも盛りだくさん。また、スパイスは新鮮な風味が重視されますので、使う瞬間に鍋や皿の上でガリガリと挽くのが主流となっています。このため、ミル型の容器にゴロゴロと入れられた塩の塊や粒胡椒などのスパイス類も多く取り揃えています。

 

オーストリア名産品コーナーは?

シュパーイチ押しのオーストリアの銘品が集められたコーナー
珍しいラズベリーとタイムのハチミツやイチジクの辛子なども発見
シュパーイチ押しのオーストリアの銘品が集められたコーナー
珍しいラズベリーとタイムのハチミツやイチジクの辛子なども発見
 

 店内で、赤いリンゴマークが目印となっているのは、オーストリア産の銘品コーナーです。シュタイヤマルク州名産「パンプキンシード入り」の緑色のハチミツ、ウィンナーコーヒーの豆、発酵途中のリンゴ酒や卵黄・エタノール・バニラシュガーから作られたオーストリア風たまご酒の「アイヤーリキュール」など、食欲をそそる美味しそうなものが揃っています。

観光客に人気なのは?「チョコレート編」

オーストリアの息吹満載のモーツァルトクーゲルン

 世界中から観光客が集まるオーストリア。そのお土産コーナーのナンバーワンは、やはりモーツァルトクーゲルンでしょう。これは、ピスタチオ・マジパン・ヌガーの入った球状のチョコレート菓子で、オーストリアを代表する銘菓のひとつです。見た目の珍しさや味わい深さに加え、包みにモーツァルトの肖像画が付いていることが人気の理由です。シュパーでは、10分に1度は商品を補充しないと、棚が空になってしまうとのこと。

観光客に人気なのは?「アルコール類編」

産地の州や国別にカテゴリー分けされたワインコーナー
中には洋ナシが丸ごと入った贅沢なシュナップスも!
産地の州や国別にカテゴリー分けされたワインコーナー
中には洋ナシが丸ごと入った贅沢なシュナップスも!

 美味な洋酒類が集められたアルコールコーナーも高い人気を誇っています。一番人気なのは、産地の州別に陳列されたオーストリア産のワインで、リーズナブルながら馥郁(ふくいく)とした味わいであるため、赤白ともに好調です。さらに、日本ではほとんど見かけない「シュナップス」というアルコール度の高い蒸留酒もずらりと陳列されています。オーストリア名産のアンズや洋ナシ、ハーブなどで味付けされた、上品ながらも力強い飲み口と芳醇さが「酒ツウ」に絶賛されているようです。

 今回の3時間超にわたる取材を通して、シュパーのいたるところに盛り込まれていたキーワードが「ヘルシー」ということ。元来、オーストリア人は添加物が少なく、昔ながらの自然な方法で調理された食事やオーガニックフード、アニマルフレンドリーな商品を顕著に好んでいました。シュパーの担当者によると、昨今はその傾向にますます拍車が掛かっているとのこと。今後も「自然」、「健康」といったトレンドが引き続きメインストリームとなりそうです。