スイスの人びとが日常の買い物で利用する代表的なスーパーマーケットといえば、国内最大の小売企業「ミグロ(Migros)」。スイス全土に600店舗以上、チューリッヒ州では113店舗を展開しており、スイスの人びとがもっとも利用する頻度が高いスーパーマーケットといっても過言ではありません。ミグロの特徴は、タバコや酒を販売していないということ。購入者の健康も考えた営業戦略(哲学)を貫いています。チューリッヒ州・シュリーレン(Schlieren, Zürich)に位置するミグロを紹介します。
ミグロとはどんなスーパー?
1925年創立のミグロは、ゴットリーヴ・デュトヴェイラー氏(Gottlieb Duttweiler)により、一台の移動販売車での営業から始まりました。第一次世界大戦後は、不況のあおりを受けましたが、良質かつ低価格というミグロの戦略が主婦層の心をつかみ、人気が上昇したのだとか。1941年には、国民が組合員という協同組合のかたちをとり、現在ではスイスを代表する小売企業へと発展しました。では、店内を覗いてみましょう。
オーガニックや地産商品がトレンド
まず、店に入ると目に入ってくる食品は、綺麗に陳列された野菜や果物です。健康意識の高い顧客層にマッチしたオーガニック野菜やフルーツを豊富に取り揃えています。野菜やフルーツは、ほとんどが量り売りですので、計量器に乗せて金額を確認します。
価格帯もさまざまです。低価格ブランドの「M-Budget」は、りんごも1kgで2.8フラン(約300円)程度。1個単位から購入できるのは、観光客にも嬉しいところです。
ミグロは顧客の健康を考え、酒やタバコの販売はしていません。ノンアルコール飲料でオススメなのは、「ペールドルセッコ(Perldor Secco)」のブドウジュースです。酒が飲めない方でも、これなら雰囲気も味も楽しめます。また、スイスを代表する清涼飲料といえば「リベラ(Rivella)/1.45フラン」。スーパーマーケットで購入するのが一番安いようです。2019年春には、新フレーバーの「ホルンダーブリューテ=ニワトコの花」味が加わり、さらに美味しさの幅が広がりました。
こちらのミグロは、シュリーレン駅(Schlieren)から徒歩圏内とロケーションもよく、学校が近くにありますので、学生や現地で働く人々が昼食時と仕事帰りの時間帯に多く訪れるそうです。テイクアウト用の「ミグロ・デイリー(Migro Daily)」は、世界のフードトレンドに合わせ、毎日調理された新鮮なサラダやサンドイッチを提供していて、学生や社会人に人気があるとのこと。
スイスは、世界的にも有名なチョコレート大国!ミグロにも板チョコがギッシリと店頭に並んでいます。スイス・インターナショナル・エアラインズで配布される赤い包みが特徴のおもてなしチョコレートは、実はミグロの傘下「フレイ社」のチョコレートなのです。スーパーマーケットで気軽に購入できますので、バラマキ用の土産にも安価でオススメです。
また、「いつもの味に、もうひと手間をかけることで、上質な美味しさを!」をモットーに立ち上げられた「ミグロ・セレクション(Migros Sélection)」は、ミグロブランドの中でも高級ラインです。お土産選びに迷ったら、売り場をのぞいてみましょう。
ハーブの種類も豊富
スイス料理では、ハーブやスパイス類が欠かせません。市販のドレッシングの種類が日本に比べて少ないスイスでは、自家製ドレッシングを作るのが一般的です。その際、欠かせないものが乾燥ハーブとなります。オリーブオイルにバルサミコ酢を入れ、お好きなバーブを入れれば自家製ドレッシングの完成です。サラダ用のハーブは、36g入りで1.5フラン(約160円)ほどと低価格。ラクレットやチーズフォンデュ用のスパイスなどは、スイスならではの商品ですので、土産にも最適です。
乳製品が豊富
酪農大国のスイスは、チーズの他にも豊富な種類のヨーグルトがあります。ミグロの自社ブランドのMクラシックは、1パック/ 90g、0.55フラン(約60円)ほどとリーズナブルで嬉しい価格。季節ごとに店頭に並ぶフレーバーがありますので、四季折々の味が楽しめます。
買い物ついでにリサイクル
環境先進国のスイスでは、店内で買い物ついでにプラスチックボトルの回収場所を設置しています。近隣国のドイツのように、ペットボトルにデポジット料金は加算されていないので、そのままリサイクルができて楽チンです。
会計の際は、セルフチェックアウトかレジでの精算となります。レジでの精算の場合は、ベルトコンベアーに購入商品を乗せ、カードか現金で支払います。ビニール袋(0.5フラン)や紙袋は有料ですので、必要な場合はこちらで購入しましょう。丈夫なエコバッグ(2フラン)も販売していますので、必要に応じで購入してください。時期によっては、スイスらしい絵柄のエコバッグも販売されていますので、会計の際にはチェックしてみてください。
ミグロは、「M-INDUSTRY Japan 株式会社」を日本に設立(2014年)し、アジア進出も果たしています。スイスの食ブランド「スイスデリス」として、日本では「コストコ」でも商品が購入できるとのこと。スイスの食文化が日本人にも身近に感じられる日が近づいているかもしれません。
スイスにお越しの際は、ミグロを利用してみてはいかがでしょうか。
■スイスデリス
https://swissdelice.com/jp
■ミグロ(Migros)
チューリッヒ州・シュリーレン店の住所:Güterstrasse 5, 8952 Schlieren
https://www.migros.ch/ (独、仏、伊)