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アングル:5G移行で何が起きるか、アップル和解の背景

4月17日、アップルとクアルコムは、足かけ2年に及んだ特許料を巡る係争を互いに打ち切ることに16日合意した。写真はアップルのロゴ。サラエボで昨年3月撮影(2019年 ロイター/Dado Ruvic)

[サンフランシスコ 17日 ロイター] – アップルとクアルコムは16日、足かけ2年に及んだ特許料を巡る係争を互いに打ち切ることに合意した。インテルは同日、スマートフォン向けの次世代通信規格「5G」モデム事業から撤退すると表明。これらは、携帯電話の5G移行が進もうとしている中で起きた出来事だ。

5G移行を巡る現状と今後予想される展開は以下の通り。

●5Gとは何か

5Gは無線通信の新技術で、現行の規格である4Gに比べて速度が最大100倍になる可能性がある。米国や中国、韓国などで年内に導入される予定だが、広く普及するのは来年以降になるだろう。モデムチップは、スマホとネットワークを接続する機能を持つ。

●5G用モデムの生産者は

16日以前の段階では、クアルコムとインテル、台湾のメディアテック、中国の華為技術(ファーウェイ)、サムスン電子の5社が5G用モデム生産計画を表明していた。ただサムスンとファーウェイは、自社のスマホ向けの製造に専念する。

●アップルはなぜ5Gを気にするのか

サムスンをはじめとするアップルのライバル企業は、年内に5G用端末を発売する計画で、アップルとしても対抗機器の投入を迫られる可能性がある。多くの携帯通信会社は5Gネットワーク構築のために多額の投資をしており、その面からも5G用端末の販売に力を入れそうだ。

●アップルは年内に5G用端末を品ぞろえに加えられるか

アップルとサプライヤーの双方に異例の努力が必要になる。新型モデムが通信会社のネットワーク上で正常にスマホを作動させられるかの検証には何カ月もかかる。従来のスケジュールに沿うなら、アップルは昨年、5G用のiPhone(アイフォーン)の試験を開始しなければならなかったが、サプライヤーのインテルの方がモデムの準備ができなかった。

●アップルは5G用端末なしだと市場シェアを失うか

アップルは4Gの対応も遅かったが、特に代償は支払っていない。サムスンなどは4Gネットワークが導入された2011年に専用端末を発売した一方、アップルは同ネットワークが広く利用されるようになった12年まで待った。多くの専門家は、アップルが5Gでも同じように動くと考えている。

●なぜアップルはクアルコムのチップが必要か

現在アップルにとって唯一のサプライヤーであるインテルは、5G用チップの供給態勢が整うのは来年以降になると明らかにした。そうなるとアップルの5G用端末販売は2021年にずれ込みかねず、売上高に響くほどの遅れになってもおかしくない。これに対してクアルコムは、5G用チップの第2世代の出荷を準備しつつあり、アップルの現在の製品に対応可能だ。

●アップルはクアルコムのチップのみを使うか

必ずしもそうは言えない。アップルはクアルコムから製品供給を受けることで合意したが、独自のモデム開発を進めている上に、メディアテックやサムスンとモデム供給を巡る協議を行ったことも明らかにしている。

●インテルが5Gモデム撤退表明後株価が上昇した理由は

インテルのスワン最高経営責任者(CEO)はかつて投資家に、モデムチップはCPUほど高い利益率を得られない公算が大きいと語っていた。同社は、例えば基地局のメーカーにCPUを売るなど、他にも5G関連事業から利益を稼ぎ出せるさまざまな方法を持っている。