『ウェルネストレンド白書』から見えた今後のヘルストレンドとは

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オフからオンの傾向が見えた三大栄養素

 本調査より三大栄養素である糖質、脂質、たんぱく質について新しく設問が追加された。諸外国との供給栄養量比較では、日本と欧米における日常的な脂質摂取量の違いによってケトダイエットによる効果や脂質に対する見解が異なることが明らかになった。

 またカロリーや糖質などを「オフ」する傾向から、現在は野菜や食物繊維、たんぱく質など特定の食品や原料を「オン」することで健康を維持する傾向にあることが示された。調査では加えて、7つの健康セグメント別の各栄養素の摂取意向についても分析されている。(図表3参照)

図表3 三大栄養素の摂取傾向 ウェルネストレンド白書vol.2より

トレンドワードから読み取るマーケティング視点

 植物性たんぱく質、コンブチャ、腸脳相関、ムードフードなど昨今トレンドになっている健康関連キーワードや素材についての各健康セグメント別の認知度や普及率などが明らかになっている。例えばハーブや、チョコレート菓子で認知度が高まったギャバなど、精神的なパフォーマンス改善と身体的なストレスへの適応を補助するムードフードについては、「健康ストイック層」「トレーニング大好き層」の関心が比較的高く、両層の一部の方々は意識的に摂取や実践をしていることが分かった。

 またサプリメントユーザーはノンユーザーに比べて健康的な生活習慣を実践する傾向があるため、サプリメント摂取率を上げる直接的なアプローチが必要なのか、もしくは健康的な生活を推奨していく中でサプリメントの必要性を理解してもらい摂取率を上げていくべきか、など調査結果から導かれるマーケターのアプローチ視点ついても読み取ることが出来る。

 

消費者を動かすストーリーの重要性

 ウェルネスに関する情報元について尋ねたところ、全体では約半数がテレビ番組・テレビCMから情報を得ており、健康セグメント別にみると「健康コンシャス層」と「トレーニング大好き層」はSNSが重たる情報元という結果が見える。

 上記のようなウェルネスに関心のある層への訴求に加え、全体の4割を占める無関心層、つまり20代から50代までの「まだ大丈夫層」「健康無関心層」の健康リテラシーを早期に高めるアプローチも今後の課題である。具体的には、「いつか」ではなく「むしろ今」と思わせる課題啓発、健康効果や続けやすい方法などわかりやすい説明、個人に適した選択指標を段階的に訴求することがマーケターに求められている。

 適切なターゲットに「消費者を動かす知識の提供」の実施が重要であり、サイエンスとマーケットの連動、消費者の啓蒙、健康行動の習慣化がマーケティング成功の秘訣であるとしている。現在小売業において「健康」や「ウェルネス」のテーマは売場づくりにあたっても関心の高いテーマとなっている。食品や飲料メーカーもこのテーマに関連した商品開発や店頭プロモーションを強化している傾向である。ウェルネス関連の商品やサービスの提供に不可欠な、マーケティング戦略、ストーリー開発、仮設の設定、また商品開発や売り場づくりのヒントや切り口に本白書を活用いただきたい。

ウェルネストレンド白書 Vol.2の詳細はこちら

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