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落語家・立川志ら乃のスーパーマーケット徒然草 SMトレードショーでのど飴に救われた話

不安を抱えつつトレードショーへ参戦!

さすがにこれは貰っていいだろ!ということで手にした会場マップ
さすがにこれは貰っていいだろ!ということで手にした会場マップ

 日本のスーパーマーケット業界の一大イベント、「スーパーマーケットトレードショー2022」に行ってきました!

 「トレードショー」って何が行われる場所のことを指すのかイマイチよくわからないまま、本連載担当者へ「私も参加できますか?」と打診したところ、すぐに返信が。「連載執筆のヒントになれば」ということで、招待状を渡してもらえました。

 もっとも、「なんだか楽しそう!」くらいの気持ちでメールを出したので、「まぁ一応調べておくか」と検索。すると段々、足を踏み入れては行けない場所に向かうことになるのでは……という恐怖心が芽生えて来たのです。

 まず「スーパーマーケット関係者のみの入場」で「一般参加不可」とある。一応この原稿を書いているからスーパーの関係者……でいいのか? そして事前登録必須、当日必ず名刺をご持参くださいとのこと。

 (名刺持ってねぇ!!!)
 (事前登録の段階でハジかれそう!!!)

 などなど、心配だらけの状況に。この辺りのことは長くなるので自分の独演会の時にでも話すことにして、結果を先に申し上げますと無事入場できました。

 とはいえ、入り口横に「サンプル目的不可」など主催者側の強い意志を感じる貼り紙が目に飛び込んで来て、ほんの少し背筋が凍りました。

 別にサンプル目的で来たわけじゃないんだけど、結果としてサンプルを貰っただけの人になってしまう可能性があるという恐怖心が拭えない。なので何かを渡されそうになったら、「いや、そういうことで来たんじゃないんで」という態度を取ればきっと許してくれるだろうと念じながら入場口に近づき、そこに置いてあった会場マップを「さすがにこれは貰ってもいいだろう」と地図を手にして足を進めます。

 

元来の人見知りを発揮し「あなたはいったい何者?」的な視線に怖気ずくも……

 一般参加不可ということは、出展者側もいわゆるお客さんを相手にする日ではなく、「商談相手」にアピールするために来ているということ。参加者は名刺を入れた透明のケースを胸に下げるのが約束事。なのでブースに近づくと多くの出展者の方はまず第一に必ずその名刺を見て来ます。

 そして大体、「えっと……メディアで連載とかをされている方なんですか?」みたいな困惑顔になるのです。

 私も「すいません、バイヤーとかじゃないんです…で、あの、その……」としどろもどろに。っていうか、スーパー関係者以前に「人見知りで営業苦手」みたいな私はこのイベントに向いてない!!!

 何回か連続で上記のようなことが起き、あっさり心が折れ「もう帰っちゃおうかな」みたいな感じでしょんぼり歩いていると、 

 「どうぞこちらお持ち下さい!!!」

 と笑顔でサンプルやチラシを渡して来る出展者の方々が。

 「お前らはオレをサンプル目的の入場者にするつもりか!!!」

 とまではもちろん思いませんでしたが、48歳年男がこのまま帰るわけにも行かないと、トレードショーとの関わり合い方をしばし考察してみたのです。

森川健康堂の「プロポリスキャンディー」に救われる!

 そして、「相手に変な期待を持たせないために、先にバイヤーじゃないことを言おう」

 と心に決めて気持ちを新たに歩き始めると「森川健康堂」のブースが視界に入ってきました。

 実は、森川の「プロポリスキャンディー」は差し入れなどでよくいただくので思わず足が止まりました。そして「声のプロも愛用」というキャッチコピーとともに声優の森川智之さんの写真が。社名と同じ名字ということで実にわかりやすいアピール方法だなぁと、しみじみ感心していると先方から「ご興味ありますか」とお声がけいただく。

社名と同じ名字ということで、声優の森川智之さんがパッケージに!

 私は7~8年前から関智一さんや山口勝平さんなど声優さんと落語会を主催しているので、「実は声優さんとイベントを行っておりまして」と、そんな話から切り込んでいきました。

 「そうなんですか、で、ご自身は何をされてらっしゃるんですか」
 「私は落語家の立川志ら乃と申しまして…」
 「え!落語家さんなんですか!!!喉を大事にされるご職業の方じゃないですか!」

 担当の方がうれしそうに商品の説明を始めてくれたおかげで、このイベントに来ても良かったんだと感じることができました。それと、「声優さんとイベントを云々……よりももっと自身の本業に自信を持ちなさい」ともう一人の私がささやいてきた瞬間でもありました。

 そして、のど飴は普段から使用しているということを伝えると、

 「では、この新商品のご意見をうかがえませんか」

 と、タブレットタイプの商品を手渡される。のど飴タイプのものよりも短い時間で食べ終えることができるのが売りだとのこと。

試食させていただいたタブレット型のプロポリス

 「声優の方から、収録の時などにもっと短い時間でのどの調子を整えたいという声がありましたので開発してみました」

 確かに出番前にのど飴を口に入れたはいいけど、食べ終わらずバリバリ噛んだり、茶碗の中に出してあとでまたなめたりしている落語家を楽屋で見かけるので、いい視点かもと思いながら新商品を口に中に入れる。

 思っている以上にシュワシュワで、「おお!!」と声が出ました。

 味はのど飴タイプとほぼ同じ感じ。短い時間で食べ終わるということでしたが、思ってたよりも時間が掛かったので、「もう少し小さくして食べきる時間を短くしてもいいかも」的な意見も伝えてみました。

 「もしよければみなさんで……」

 と、横にいらした女性の方が大きな紙袋にかなりの量のサンプル、いや商品を入れて渡そうとするので反射的に「多い多い!!!そんなに貰っても何もお返しできない!!!」とかなり大きめの声で遠慮してしまいましたが、よくよく考えたら

 「だったら来んなよ!」ということになるなと思い、

 「しっかり宣伝しますし、何か今後イベント的なことができましたらどうぞよろしくお願いいたします」

 と、ブースを後にしました。

 そこから、「そうか!落語会とコラボみたいな発想でブースを見ていったらいいのか!」と、急に気分良く会場を回り始めるのです。

 というわけで次回は、「以前立川談吉に教えてもらった澤田食品のふりかけ」「コーヒーのサンプルを配っていた国太楼」「商品陳列棒に関する特許を取得している会社」「商品カタログだと思って手にしたらカレンダーだったユウキ食品」「トレンド卵が取材に来そう!スーパーメイトのカート展示」などについて書いていこうと思います。

 ちなみに数日後、山口勝平さんが落語の稽古で私の家に来たとき、いただいたのど飴を見せると

 「あっ、これ知ってる!よく収録の現場で見かける!」
 「やっぱりかなり有名なんですね、じゃあ森川智之さんがコラボされてるのもご存じですか?」
 「え?そうなの?それは知らない!」

 と、森川健康堂のサイトを検索して見せると

 「うわぁいいなぁ、僕も山口っていう名前の企業さんとコラボしたい!!!」

 山口勝平さんとコラボしてみたい方、是非立川志ら乃までご一報を。それと森川健康堂さん、また落語会とのコラボ企画など送らせていただくかもしれませんので、その際はどうぞよろしくお願い致します。

 っていうか、この連載ってこういう感じで大丈夫なのか……?

山口勝平さんとプロポリスキャンディ―

 

立川志ら乃

1974年2月24日生まれ。98年3月、立川志らくへ入門。2012年12月に真打ち昇進。16年7月に「スーパーマーケットが好きである」ことを突如自覚。スーパーに関する創作落語に「グロサリー部門」「大豆なおしらせ」など。寄席やイベントなどのスケジュールは下記Twitter・ブログをご参照ください。

Twitter:@tatekawashirano

ブログ:https://ameblo.jp/st-blog/