一般社団法人 Pパレ共同使用会代表理事 滝本 修司
啓発活動や調査活動を継続することでPパレの流出防止と回収率アップめざす

2016/01/05 00:00
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── Pパレの出荷と回収の枚数の差が大きい場合は、どのような対応をしているのですか。

 

滝本 たとえば、ある取引先の物流センターからの回収率が低い場合、連絡して、回収率の低い理由をお聞きします。原因がわからなければ、許可をいただいて、実際にそのセンターを訪問。そのセンターに2日間にわたって張り付き、調査を行っています。

 

 まずは、パレットがどのように保管、使用されているのかチェックさせていただきます。次に、Pパレに商品を載せて納品する企業とPパレの枚数を確認します。その際、加盟企業以外からPパレが入ってくる場合もあります。つまり流用されているということです。

 

 そして、センターから小売店や物流業者へ出荷、回収されるPパレの枚数をチェックします。すると、取引先の別のセンターに転送されていたり、小売店から戻ってこないことがわかってくるのです。

 

 われわれは「メンテナンスプログラム」と呼んでいるのですが、外部企業に委託しているこの調査によって、Pパレの流出先をほぼ明らかにすることができます。今後も継続的にメンテナンスプログラムを実施することで、Pパレの流出を減らしていきたいと考えています。

 

 これまではPパレを回収することに重点を置いていましたが、今後は「蛇口を閉める」ことも重視していきます。つまり、メンテナンスプログラムを使って、Pパレの回収が懸念される先に改善をお願いして、流出そのものを減らしていくという考えです。

 

── Pパレを不正使用している事業者に対して、どのように返却を促すのですか。

 

滝本 社団法人化したことにより、Pパレ共同使用会は法的根拠に基づきPパレの返却を容易に主張することができるようになりました。当初の目的外で使用されている場合には、その事業者にPパレの返却を求めます。説明に伺えば、多くは即座に返却に同意いただけます。加盟企業が直接返却を呼びかけるよりも、Pパレ共同使用会が返却を求めることで、円滑に処理できる場合もあります。

 

 また、社団法人となることで、悪質な不正使用者に対しては、対抗措置として訴訟に持ち込むことも容易になりました。15年からは不正使用(保有)者に対する返還交渉活動に力を入れています。15年末には、1年間以上も返還交渉を行ってきたPパレを大量に不正保有する事業者に対して、Pパレ返還のための法的措置の対応の実施に踏み切りました。一般社団法人化後、初めてのことです。Pパレ共同使用会が債権者として仮処分の申し立てを行い、裁判所から仮処分執行の決定が出されました。保全執行の実施後に、債務者からすみやかに返還の申し入れがありました。今後はこの結果を踏まえ、不正に使用、保有している事業者に対しては、法的措置を対抗手段として活用していく方針です。

 

 ただ実際には「不正使用をしている」という認識がない場合がまだまだ多いのです。酒類の販売先である小売業者にとっては、Pパレを返却しなくてはいけないものという認識があまりないのが現状です。これを改善するため、啓発活動に力を入れていきます。流通関係の人々がよく目にする雑誌や新聞に啓発広告を出稿して、「Pパレは加盟社の所有物であり、加盟社以外の商品の輸送や保管以外の目的で使用することは違法です」とわかりやすく伝えていく考えです。

 

地道な啓発や調査を続けPパレ回収をめざす

 

── Pパレ共同使用会に加盟するメリットは大きいと思われます。加入を希望する場合は、どのような手続きを踏む必要があるのですか。

 

滝本 Pパレ共同使用会では、加盟社は「主に日本国内において酒類、飲料、食品の製造・販売等を業とするもの」という規約を設けています。

 

 加盟される企業には、まず3年間を準会員として活動いただき、その後、正会員となっていただきます。準会員、正会員ともに必要なPパレを購入いただくことに変わりはありませんが、会費の負担方法が異なります。準会員の場合、パレット協力金という名目で出荷枚数当たり10円をご負担いただきます。正会員は、使用会の年間運営費のうち、使用会のPパレ総出荷枚数に占める比率分を負担いただくかたちです。すべての活動費が、加盟社からの費用で賄われています。

 

 準会員というクッションを用意したのは、正会員になる前に投入が必要なPパレ枚数を正確に把握するためです。自社が使用する枚数を購入して共同使用会に投入していただくことが、不正使用をなくすことにつながっています。

 

 Pパレ共同使用会は社団法人化して2年しか経っていませんが、自ら所有するPパレを確実に回収したいという加盟社の思いを実現するため、啓発活動や調査活動を地道に続けていく考えです。そのことが加盟社のメリットにつながると確信しています。

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