一般社団法人 Pパレ共同使用会代表理事 滝本 修司
啓発活動や調査活動を継続することでPパレの流出防止と回収率アップめざす

2016/01/05 00:00
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Pパレの動きを可視化し流出の原因を探る

 

── 社団法人化によって、Pパレの回収率は改善したのですか。

 

滝本 10年ほど前は、今よりも回収率が高かったのですが、この数年でジワリと低下していました。社団法人化した13年には未回収枚数が16万枚に減少したのですが、14年は28万枚となりました。15年は改善する見込みです。

 

 14年の回収率は99.3%でした。未回収分は0.7%に過ぎないと思われがちですが、前述通り、金額に換算すると十数億円の損失になります。14年に未回収枚数が増えた理由は明確に特定できていませんが、その多くはPパレの不正使用によるものだと見ています。不正使用にはいろいろなケースがあります。店舗の在庫商品の整理のために使われていたり、倉庫の風除けとして使用されていたりするケースもあります。Pパレが頑丈なために、そのまま陳列台として使用したり、無断で切断して別の用途で使用している小売業者もありました。

 

 また、取引先の小売業者がプライベートブランド(PB)を製造するようになり、その輸送や保管を行うためにPパレを使用することも増えているようです。こうした状況を改善するため、14年6月から「Pパレ共同使用会共通受払いシステム」および「Pパレ共同使用会指定伝票」を導入しました。

 

 「Pパレ共同使用会共通受払いシステム」とは、加盟企業と卸売業者、物流業者がパレットの出荷・回収データを共通のシステムを活用して受払いするという仕組みです。物流のそれぞれの過程でPパレの情報をインプットしてもらうことで、加盟企業から出荷した枚数、回収できた枚数を明確に把握することができます。以前はPパレがどこにあるのか確認するのが難しかったのですが、システムを導入することでPパレの出荷、回収状況が可視化されたため、流出への対策をいち早く打てるようになりました。

 

 また、これまでPパレに印字されていた表記は企業によって異なっていましたが、一般社団法人化後に表記を統一し、各社のロゴマークと社名に加え、「譲渡・無断使用一切禁止、一般社団法人Pパレ共同使用会 管理」と記載するようにしました。「Pパレ共同使用会指定伝票」はロゴマークとPパレ共同使用会指定伝票の表記があり、出荷用と回収用の2種類を用意しています。回収についてはこの指定伝票を持った物流業者にPパレを戻すことを徹底することによって、流出を防いでいます。

 

 流出によってPパレが不足した場合、商品を製造しても工場から出荷できないばかりか、製造ラインにまで影響して店舗に商品が届かない事態にもなりかねません。製造から店頭までの商品の動きをスムーズにするためにも、Pパレの円滑な回収は必要不可欠です。

 

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