ドミナントエリアとは?メリット・デメリットや戦略として導入した企業事例を紹介!

読み方:どみなんとえりあ
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セブンイレブン外観
セブンイレブンは、創立当初からドミナント戦略を導入しているコンビニチェーンだ。写真は同社ロゴ、2017年1月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

企業が多店舗展開する際、出店する地域を決めるために用いる戦略の一つがドミナント戦略です。ドミナント戦略は地域におけるシェアを独占し、認知度を高める手段として非常に有効です。そして、特定地域へ集中的に出店し、他の小売業よりも優位に立った地域を「ドミナントエリア」と呼びます。

今回は、ドミナントエリアの概要やドミナント戦略のメリット・デメリットを解説するとともに、企業での成功事例を紹介します。

ドミナントエリアとは?

ドミナントエリアとは、特定の地域において自社が最も高いシェア率でチェーン展開し、店舗経営を行なっている地域を指します。なお、ドミナント(dominant)は、「支配的」という意味を持つ言葉です。

ドミナントエリア戦略は、限りのある資源で効率的にシェアを獲得し、競争相手より圧倒的に有利な立場を独占するという考え方です。具体的には、1店舗でシェア率を高めるのではなく、多店舗展開することでその地域におけるシェア率を独占していきます。

その戦略は、大規模なチェーン店が利益を上げるための定石とされ、どれだけ多くのドミナントエリアを獲得できるかに成功がかかっています。ドミナント戦略を行なう企業の代表的な例としては、コンビニやスーパー、チェーンの飲食店などが挙げられます。

ドミナントエリア戦略のメリット

ドミナントエリア戦略のメリット

ドミナント戦略のメリットには、以下の4つが挙げられます。

エリアマーケティングの最適化

ドミナント戦略は特定の地域をターゲットとするため、その地域の消費者の年齢層、趣向、ライフスタイル、地理的な事情などの特性を深く理解することができます。それにより、その地域の消費者独自のニーズに合った商品の開発や宣伝といった最適なエリアマーケティングを行なえるメリットがあります。

また、同じ地域を限定して店舗展開するため、市場調査にかかる費用の削減にも有効です。

ブランド認知度の向上

店舗が集中しており、特定の地域に広告を打つことが可能なため、一度の宣伝で高い効果を得ることが可能です。

また、地域の消費者は広告だけでなく、店舗の看板や自社のブランドをアピールした社用車などを繰り返し目にする機会が増えます。それにより、地域へのブランド認知度が深まります。

コストの低減・最適化

高い宣伝効果が得られるということは、1店舗あたりの広告・宣伝費を低減できるということでもあります。
また、配送効率が高まることから物流コストも最適化できます。特定のエリアに集中出店することで、1店舗あたりコストを低減することができるのです。

競合の参入抑制

地域に深く浸透し大きな優位性を獲得できれば、他社の参入意欲は削がれ、新規参入の抑制へとつながります。その結果、競合他社との競争における費用削減ができ、自社サービスの向上や作業の効率化などに集中できます。

■ドミナントエリア戦略のデメリット

ドミナント戦略におけるデメリットには、以下の2つが挙げられます。

一極化によるリスク

ドミナント戦略は特定地域に集中して店舗展開するため、その地域において需要が下がった場合は全店舗に影響がおよび、一気に経営状態が悪化する恐れがあります。需要が下がる要因としては、地域内に新たな競合店やショッピングモールができることや、人口減少、自然災害、事故などの影響が挙げられます。

そうなると最悪の場合、減少した需要を地域内の系列店で奪い合う事態に発展することも考えられるでしょう。

他エリア出店の弊害になる可能性

新規エリアにおいては情報が不足しているため、店舗展開が難しいというデメリットがあります。そのため、特定地域での戦略が成功した場合は、得られた資金を新規エリアの調査や競争のための投資へと回すことが重要です。

■ドミナントエリア戦略の導入事例

ピンを立てたMAP

ドミナント戦略を導入し、成功している事例を2点紹介します。

セブンイレブンの事例

セブンイレブンは、創立当初からドミナント戦略を導入しているコンビニチェーンです。市町村などの狭い地域をドミナントエリアとして特定し、店舗展開を開始しました。

セブンイレブンが成功した理由には、POSシステムの導入が関係しています。戦略の過程でPOSシステムを導入したことにより、さらに生産と出荷の効率が向上し、運搬にかかるコストや時間も大幅に短縮できるようになりました。

そして、現在では国内に約2.2万店、海外では約600店もの店舗を展開するほどに至った成功例だといえます。

クックパッドの事例

ドミナント戦略はチェーン店だけでなく、インターネットビジネス業界においても有効です。

有名なレシピサイトであるクックパッドは、347万品以上の圧倒的なレシピ数を誇り、大半のレシピが検索エンジンの検索上位を独占しています。

要するに、検索結果(エリア)において、レシピ(店舗)が他のレシピサイトに対して圧倒的優位に立つことに成功したということです。ユーザーの利便性を考慮した仕組みにすることが、クックパッドの継続的な利用へとつなげています。

まとめ

ドミナントエリアとして成功するために必要不可欠なドミナント戦略について解説しました。

ドミナント戦略には、「エリアマーケティングの最適化」「ブランド認知度の向上」「競合の参入抑制」といったメリットがあります。その一方で、「一極化によるリスク」「他エリア出店の弊害になる可能性」というデメリットも存在します。

成功事例にもあるように、ドミナント戦略は地域において店舗が有利な立場を独占し、認知度を高めるための手段として非常に有効です。企業戦略の一つとして導入を検討するとよいでしょう。

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