坪効率とは?流通業界ではなぜ坪効率が重視されるのかをわかりやすく解説!

読み方:つぼこうりつ
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坪効率とは

坪効率とは、流通業界における管理指標の1つで、店舗売上高を売場面積(坪)で割って算出する。

坪効率イメージ
坪効率とは、流通業界における管理指標の1つで、店舗売上高を売場面積(坪)で割って算出する。(Vorawich-Boonseng/i-stock)

坪は明治時代の度量衡で基準が定められており、東アジアでは昔から尺貫法とよばれる計測単位が使われており、坪とは面積を測る単位として用いられる。メートル法に置き換えた面積は約3.3㎡ で、畳2畳分に相当する。縦横が1間(約1.8m)の正方形が1坪に相当する。

明治の度量衡法のもと一般に普及していた「坪」も、現在の計量法では取引などでの公式利用が禁じられている。一方で建築や不動産、流通業界など幅広い分野において、「坪」は根強く使用されてきた。

ただ最近は、「坪」をはじめとした測定単位は生活文化・社会慣行の領域から消えかけている。スーパーマーケットの業界団体が公表している統計資料も、もっぱら「売場1㎡当たり年間売上高」を使っている。

消費者嗜好の多様化、店舗の大型化、商圏の狭小化などにより、小売業各社の坪効率は近年伸び悩んでいる。一般的に売場面積が2000㎡を超えると、坪効率は低下するとされる。たとえば「コストコ」のようなホールセールクラブや大型ホームセンターは1万㎡、ショッピングモールは5万㎡を超える店舗面積があり、坪効率は高いとはいえない。

一般的に、坪効率を高めるには、場所をとらず、高価格、かつ回転率の高い商品は有利とされるが、これらの要素をすべて満たす商品は少ない。回転率の高い日配品や生鮮食品は回転率が高いが、価格が安い。一方で、衣料品は単価が高いものの回転率が低い。取り扱い商品の特性を見極めつつ、坪効率を上げていく努力が必要となる。

坪効率を高めるメリット

坪効率を高めていくことは売上増に直結する。コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーマーケットなど、同じ業態であれば店舗面積はライバル店同士でそう大きく変わらない。ライバル店より店舗面積を拡げても、坪効率が落ちるだけで売上は大して変わらない。つまり、売上に差がつくのは坪効率によるわけだ。

品揃えや販促活動、さらには日常の清掃など基本的なオペレーションを地道に続けることで、店舗面積を拡げなくても売上アップが可能となる。

ただし、坪効率は店舗が大型化する現在のトレンドとは相反する。店舗の大型化は集客力を高めるのに有効で、実際に売上増につながったという事例も多い。坪効率にはあえて目をつぶり、店舗の大型化で集客するというのも戦略の1つだ。

坪効率を事例で解説

坪効率の実例として、オーケー(東京都)とアークス(北海道)を取り上げてみたい。

オーケーは、首都圏を中心とするディスカウントスーパーで、国道16号線の内側に店舗を展開してきた。同エリアは基本的に賃料が高いが、オーケーは高い坪効率を実現することで売上を積み増し、高収益につなげている。ちなみにオーケーの坪効率は700万円近くにもなり、優良スーパーとして知られるヤオコー(埼玉県:坪効率400万円前後)を大きく引き離す。

一方でアークスは、坪効率はオーケーの半分以下とされるが、「家賃の安さ」を強みに、店舗面積を広く取ることで、高い売上を叩き出している。このように、展開エリアによって坪効率に対する考え方はさまざまと言える。

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