OEMとは?OEMのメリット・デメリットを徹底解説!

読み方:OEM(おりじなる・えくいっぷめんと・まにゅふぁくちゃりんぐ)
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OEMとは

OEMとは、メーカーが発注元の名義やブランドの製品を製造することを指す。また、その受託を行う企業自体を指す場合もある。メーカー側が既に開発・販売している完成品や半完成品を、発注元のブランド名で製造するケースや、発注元が製品の企画・設計を行い、製造のみをメーカーに委託するケースなど、さまざまなパターンが存在する。

OEMイメージ
OEMとは、メーカーが発注元の名義やブランドの製品を製造することを指す。

OEMという言葉は1950年代にIBM社が生み出した造語であると言われており、1960年代に入ると米国のコンピュータや電子部品業界で広く使われるようになった。今日ではエレクトロニクス業界を超え、幅広い業界で使われている。流通業界で広く導入されているプライベートブランドも、OEMの一例である。

エレクトロニクス業界がリードする委託生産の形

生産委託には様々な形が見られるが、委託生産の発展をリードして来たのはエレクトロニクス業界である。1960年代にエレクトロニクス業界で導入が進んだOEMは、設計まで委託先に依頼するODM(Original Design Manufacturing)へと進化した。なおODMを受託するメーカーは、自社ブランドの製品も製造販売しているケースが多い。さらに1980年代に入ると、設計から部品や資材の調達など、生産プロセスすべてを委託するEMS(Electronics Manufacturing Service)がシリコンバレーで発展、今日では世界的な広がりを見せている。

ファブレスとファウンドリ

OEMやODM、EMSの発展により、今日ではアップルに代表されるような経営資源を製品開発とマーケティングに集中し、生産ラインを持たないメーカーが登場している。また半導体業界では、ファブレス(fabless)と呼ばれる工場を持たないメーカーが、ファウンドリ(foundry)と呼ばれる半導体専門の受託生産メーカーへ製造を委託するというビジネスモデルが一般化している。ファブレスとファウンドリの関係は、委託者が指定する設計の通りに生産する契約形態となるため、OEMと同等なビジネスモデルと想定できる。なお今日では、半導体業界に限定されることなく、ファブレスとファウンドリという言葉は一般化している。

OEM導入のメリット

メリットのイメージ

OEMを委託する側には、次の様なメリットがある。

  1. 生産に関わる設備投資や人員確保などの負担軽減、経営資源の製品開発やマーケティングへの集中投入が可能になる
  2. 生産ラインを新たに立ち上げる必要がなく、迅速な生産開始とメンテナンス経費、労務費など諸経費の削減が可能になる
  3. 既存製品の生産体制を維持したまま、新製品の生産が可能になる
  4. 委託工場を使うことで生産量の調整が容易、自社工場の稼働率安定化が図れる

受託者には、次のようなメリットがある。

  1. 事業売上拡大への貢献できる
  2. 工場設備の稼働率向上と固定費の負担率軽減、収益率向上が図れる
  3. 委託先の設計や生産技術、品質管理などのノウハウを吸収できる
  4. 委託先のノウハウ吸収で、自社の競争力強化に貢献できる

OEM導入のデメリット

OEMを委託する側には、次のようなデメリットがある。

  1. 生産を委託するため、自社の生産技術向上に向けたモチベーションが停滞する可能性がある
  2. 自社技術を委託先に提供する場合には、受託先に技術を取り込まれる懸念があり、将来的に受託先が競合メーカーとなる潜在的なリスクがある
  3. 委託先が生産する品質の完成度、納期の不備などのリスクがある

受託者には、次のようなデメリットがある。

  1. 委託先の指示通りの生産となり、付加価値を生み出す改良や改善が困難である
  2. 委託先の指示通りの生産となり、技術向上などモチベーション低下の懸念がある
  3. 自社の強みをアピールできる機会が喪失する可能性がある
  4. 契約の継続性に対する懸念がある

OEM導入の実例

OEMは、情報機器、食品、衣料、家電、自動車など様々な業界に導入されている。ここでは、いくつかの業界での導入例を紹介する。

OEM導入の代表例となるアップル

一般にファブレス経営の代表例とも言われているのが、情報端末メーカーのアップルである。同社はデザインや製品開発に重点を置くと同時に、生産技術の開発に加え生産設備機器への投資も行っている。調達した設備機器類は製造委託先へ貸与するなど、委託先を包括する生産体系へのバックアップ体制を整備している。

OEM導入が進む自動車業界

国内の自動車業界では、OEMモデルという車種が存在するほどOEMの導入が活発に行われている。OEMは新車開発にかかる莫大な投資を費やすことなく、新車のラインアップができるためである。例えば、トヨタ自動車(愛知県)はダイハツ工業(大阪府)の一部車種の供給元になり、またダイハツはトヨタの一部車種の供給元となる。同様に日産自動車(神奈川県)もスズキ(静岡県)と互いに一部車種の供給元になるなど、他の自動車メーカーでも多様な展開が見られる。

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