ダイナミックプライシングとは?用いることでのメリット・デメリットを紹介します!

読み方:だいなみっくぷらいしんぐ
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ダイナミックプライシングを導入する横浜Fマリノス
ダイナミックプライシングは需要に応じて価格を細かく調整する。横浜のニッパツ三ツ沢球技場で(2019年 ロイター/Kaori Kaneko)

近年、ダイナミックプライシングという言葉を耳にする機会が増えてきました。しかし、明確な定義や、用いることによるメリット・デメリットをしっかりと把握している方は少ないのではないでしょうか?ダイナミックプライシングを取り入れる影響は、企業側と消費者側で異なるため、それぞれの立場になって考えることが重要です。そこで本記事では、ダイナミックプライシングの定義と、用いることによるメリット・デメリットについて、企業と消費者それぞれの目線で解説します。

ダイナミックプライシングとは?

ダイナミックプライシングとは、消費者の需要と供給を考慮して、商品やサービスの価格を変動させる手法です。商品やサービスの原価をもとに価格を決めるのではなく、販売する時期における消費者の需要を勘案して、価格の設定を変えていきます。

疑問のイメージ

例えば、ホテルの宿泊費や航空券の金額などは、ダイナミックプライシングを取り入れている場合がほとんどです。

旅行業界では、シーズンによって消費者の需要が大きく変わるため、ゴールデンウィークや年末年始など、需要が多く見込まれる時期は価格を高くします。反対に、梅雨の時期などは閑散期になるので、価格を低くすることで売上の低下を防止するのです。

もちろん、このように時期によって価格を変動させ、利益を向上させるには、大量のデータの収集と正確な分析が必要になります。

ダイナミックプライシングを用いるメリット

OKサインをする男女

ダイナミックプライシングを用いるメリットを、企業側、消費者側、それぞれの目線で見ていきましょう。

企業側のメリット

ダイナミックプライシングを取り入れることで、企業側は収益を最大化できるほか、在庫を抱えるリスクを軽減できるメリットがあります。

消費者の需要が高まる時期に商品やサービスの価格を上げれば、直接的に収益増加につながり、需要が低い時期は価格を下げることで、商品の売れ残りなど、余剰在庫の削減になるのです。

また、ダイナミックプライシングのシステムを構築することで、価格の決定や変更に要していた人的リソースの最適化にもなります。

消費者側のメリット

消費者側は、需要が少ない時期であれば、リーズナブルな価格で商品やサービスを購入できます。
梅雨などの閑散期に旅行を計画して、ゴールデンウィークや年末年始など繁忙期の半額以下の金額で、人気ホテルに宿泊した経験のある方もいるのではないでしょうか。

このように、時期さえ選べば比較的安価に商品・サービスの購入が可能な点が、消費者にとっての最大のメリットです。

ダイナミックプライシングを用いるデメリット

ダイナミックプライシングを用いるデメリットについても、企業、消費者双方の視点で見ていきましょう。

企業側のデメリット

収益性を高められる一方で、ダイナミックプライシングのシステムを構築するための投資コストが発生します。複雑な分析を行なうには、AIやディープラーニングといった技術が必要になるため、多額のコストがかかるでしょう。

ダイナミックプライシングの導入が成功すれば、コストを回収できますが、必ずしもうまくいくとは限りません。

また、ダイナミックプライシングを取り入れ価格が変動することで、消費者が不信感を抱くこともあるでしょう。この場合、結果的に消費者が離れていき、収益悪化を招く可能性もあります。

消費者側のデメリット

消費者は需要が少ない時期であれば、その商品やサービスを安く購入できますが、逆に需要が高い時期は割高な費用を支払わなければなりません。その結果、本当に欲しい時期に欲しい商品やサービスを購入できるのは、高所得者だけになってしまう可能性があります。

また、時期によって商品・サービスの価格が変わることに対し、不安感を抱き、購入意欲が失われるケースもあるでしょう。前までは時期に関係なく同じ価格で購入できたのに、急に価格が上がったり下がったりするようになれば、購入時期についても考える必要が出てきます。

まとめ

ダイナミックプライシングを成功させるには、対象となる商品やサービスとの相性を考えることが大切です。例えば、価格を変更する際の労力(値札の貼り替え、通販サイトの価格修正など)に大きな人件費がかかってしまう場合、期待するような収益の向上が見込めないかもしれません。

また、消費者が価格変動を受け入れやすい商品・サービスであるかどうかも重要なポイントです。航空券やホテルの宿泊費のように、価格変動するのが一般的だと捉えられているものもあれば、そうではない商品・サービスもあります。

今まで変動しなかった商品・サービスの価格が、突然変動するようになれば、不満を抱く消費者も出てくることでしょう。そのため、実際にダイナミックプライシングを取り入れた場合の消費者の反応や、それによって起こる収益の変化を、しっかりと想定したうえで導入することをおすすめします。

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