アローワンスとは?リベートとは何が違う?メリット・デメリット含め徹底解説!

読み方:あろーわんす
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アローワンスとは

アローワンスとは、メーカーから小売店・卸に支払われる手数料のことで、販売奨励金・協賛金・販促支援金などの名称でも呼ばれる。もともと英語では、割当金・小遣い・引当金・余裕・手当などの意味を指す言葉である。

アローワンスイメージ
アローワンスとは、メーカーから小売店・卸に支払われる手数料のことで、販売奨励金・協賛金・販促支援金などの名称でも呼ばれる。

リベートが一般的に仕入金額に対する割り戻しの性格を持つのに対し、アローワンスは小売店・卸が推進する販売促進活動に対するサポートしての性格を有する。ここでの販売促進活動とは、自社商品の売場確保(定番・特設コーナー)、ポイント付与などのキャンペーン展開、ワゴンセール、販売チラシへの掲載などがある。対象となる販促活動によって、陳列アローワンス・広告協賛金など、複数のアローワンスが存在する。小売店はアローワンスを原資の一部として、販促活動を展開することができる。

リベートの取引条件は、販売チャネル別に個別に設定され、他社にはクローズにされる。一方でアローワンスの場合は、販売チャネル間で条件が共通で、かつ基準もオープンにされる。アメリカでは独占禁止法によりリベートが厳しく規制されていることもあり、アローワンス制度が発達した。

アローワンスのメリット

メリットのイメージ
アローワンスのメリットは、メーカーによるマーケティング戦略を徹底できる点にある。

アローワンスのメリットは、メーカーによるマーケティング戦略を徹底できる点にある。

メーカーサイドとしては、自社商品のブランド価値を維持・向上させたい。ブランド価値のカギを握るのは4P(PRODUCT:商品、PRICE:価格、PLACE:売場、PROMOTION:販売促進)とされている。

店頭は、顧客が商品と出会う大切な接点だ。どんなに優れた商品でも、背が届かないような隅の棚でほこりをかぶっていたら売れるものも売れない。アローワンスは、小売店の協力を引き出す大きな武器になりうるのだ。

アローワンスのデメリット

アローワンスのデメリットは、流通コスト圧迫と効率の低下・流通チャネルの既得権化・仕入偏重の助長などがある。

流通コスト圧迫と効率の低下

少子高齢化やデフレの長期化もあり、国内における消費市場はどのカテゴリーも低迷が長引いている。加えてネット販売の伸長もあり、リアル店舗は苦戦を強いられているところも多い。

こうした状況下では、店頭で様々な販促を組んでも以前のようにはエンドユーザーに響かなくなっていく。うまくいかないため、さらに販促施策は複雑化・小粒化して、ますます効果が希薄化する悪循環に陥っている。

流通チャネルの既得権化

店頭で販促効果が出ないのなら、本来はマーケティングミクスを見直さなければいけない。つまり、アローワンスの原資を商品イノベーション・ネットを含めたメディア宣伝などにシフトすべきなのだ。ところが、アローワンスが流通チャネルの既得権と化しているため、簡単にはシフトが進まない。

仕入偏重の助長

本来、販売促進は拡売を目的としている。ところが多くのアローワンスは仕入れと連動しているため、小売サイドからすれば「棚に商品を並べれば」アローワンスが稼げてしまう。メーカーの営業担当も、小売が仕入れてくれれば自分の成績が上がる。
そして仕入だけが増え売上が伸びなければ、店頭在庫の膨張という望ましくない結果を招く。

アローワンスの実例

アローワンスの実例として、医療用医薬品におけるアローワンスについて取り上げる。医療用医薬品は、医薬品メーカー→医薬品卸→病院・調剤薬局という流れを通る。

卸にはメーカーから巨額のアローワンスが投入され、結果として病院・調剤薬局に還流される。一方で、公的に定められる薬価は高めに設定される傾向にある。高い薬価と実勢価格との差額をアローワンスが埋めている縮図が浮かび上がる。

医薬品市場における価格形成を正常化させるためにもアローワンスの見直しは急務とされており、最近は行政を巻き込んでの改善も進みつつある。

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