ハイ&ロー政策とは?ハイ&ロー政策のメリット・デメリットを徹底解説!

読み方:はいあんどろーせいさく
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ハイ&ロー政策とは

ハイ&ロー政策とは、小売業の価格政策の1つで、特定商品を一定期間値引き販売する販売手法である。1つの商品が日によって価格に高低があることから、ハイ&ロー政策と呼ばれる。

小売業で広く採用されている手法で、典型的なのが「スーパーのチラシ」販促だ。ときには原価割れも辞さない「目玉商品」で集客を図る。このような、採算を度外視した目玉商品は「ロスリーダー」と呼ばれる。

当然、目玉商品だけが売れても利益は出ないので、ハイ&ロー政策の目的は、「来店促進によって通常価格商品のついで買いをねらう」「店の認知度を高める」「『安いお店である』とお客に印象づける」といった点にある。

ハイ&ロー政策の対極にある戦略がEDLP (Everyday Low Price:エブリデイ・ロープレイス)だ。特売を行わず、「いつでも(毎日)安い」をアピールする。この言葉を有名にしたのは、小売世界最大手ウォルマート(Walmart)で、1980年代に入ってからは一貫したEDLP政策で業績を伸ばしている。

EDLP政策をとる小売業は、チラシ制作・配布などの販促コストがかからないメリットがあるが、毎日安く販売しても利益を上げるには、製造(仕入れ)原価と流通コストを引き下げる経営改革が前提となる。

ハイ&ロー政策のメリット

ハイ&ロー政策には次のようなメリットがある。

  • • 大多数を占める価格感度の高い消費者(製品の価格変化に敏感な消費者)の注意を引くことができる→店の認知度アップ、来店促進
  • 低価格で販売するお店のイメージを持たせることができる
  • 通常価格商品のついで買いを期待できる
  • イベントや季節商品の販売と組み合わせることで売り場に変化が出る
  • 在庫処分がしやすい
  • 施策に即効性がある

このように、即効性のある集客施策であることが、ハイ&ロー政策の最大のメリットである。

ハイ&ロー政策のデメリット

一方で、ハイ&ロー政策には次のようなデメリットも伴う。

  • チラシの制作・配布などで販促費用がかかる
  • 消費者の値ごろ感の水準を低下させる
  • 定番価格への信頼性を失わせる(ブランドロイヤリティを低下させる恐れがある)
  • バーゲン日以外の来客数が低下する可能性がある
  • 通常価格では買う気がしなくなり、値引き対象商品を通常価格に戻したときの売上が、極端に落ちる可能性がある
  • 特売品の在庫確保、値札の張替え、売り場の模様替えなどで、店内オペレーションの工数が増える

とくに、いつもと違う価格を設けて告知するコストがかかり、店内オペレーションも安定しないのがハイ&ロー政策の大きなデメリットである。

ハイ&ロー政策のメリットを最大化し、デメリットを最小化するには

ハイ&ロー政策の効果を高めるには、そのメリットである「特定日の集客力」を値引き商品の販売だけに終わらせない対策が重要である。ハイ&ロー政策の告知日を最大限に活用するのだ。

その1つが、季節商品などのプロモーションの売場の充実である。主通路のゴンドラなどプロモーション売場で、シーズンの進展に合わせた提案のあるストーリーで品揃えしよう。季節商品の「導入期」「成長期」「ピーク期」「衰退期」を的確に把握してプロモーションを行うことは、売上増に大きく貢献する

最近売上が伸びているホットなジャンルの品揃えを充実させ、その中に特売商品を混ぜてマージンミックスすることで、定番商品とロープライス商品双方の売上促進を狙うことも可能だ。「○○市」「○○祭り」などのイベントもロープライスデーにぶつけることで効果が上がる。

最近は、ハイ&ロー政策とEDLPの組み合わせが模索されているが、自社開発商品など常時低価格を実現できる仕入れ改革、オペレーション改革をハイ&ロー政策と並行して進めることも重要だ。

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