インサイトとは?マーケティングに役立つインサイトを解説!インサイトを利用した成功事例も紹介

読み方:いんさいと
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インサイトとは

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インサイトとはマーケティング論において「顧客を動かしている隠れた心理」を意味する。 i-stock/tadamichi

 インサイト(insight:洞察力・観察力・見抜く)とは、マーケティング論において「顧客を動かしている隠れた心理」を意味する。一般的に、「顧客インサイト」「消費者インサイト」といった使われ方をする。

 インサイトのポイントは、消費者の購買行動について心理的背景・心理構造を解明することにある。隠れた「インサイト」を探り当て、それらを商品開発やマーケティングに取り入れることで、購買意欲を高めることができるとされている。

消費者本人も気づいていないインサイト

 しかしながら、インサイトの発見は容易ではない。人間の行動は大部分が無意識によるものだといわれており、無意識だからこそ消費者本人さえ気付いていないことも多い。

 そして無意識の領域は、過去の体験・日ごろの欲求や不満・持って生まれた性格などが絡まった複雑な心理構造を形成している。インサイトの発見は、この複雑に絡まった糸を丹念にひも解いていく必要がある。

なぜインサイトが求められるのか

 消費者のライフスタイルは多様化し、商品・サービスへの欲求も刻々と変化している。顕在化したニーズを追いかけているだけでは、もはや消費者の心をとらえることはできない。だからこそ、消費者自身も気づいていないインサイトへの訴求は、マーケティング戦略上大きな意味を持つのだ。

インサイトのメリット

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インサイトを追求するメリットは、商品・サービスひいてはビジネスモデルそのものにイノベーションをもたらすというポテンシャルにある。

 インサイトを追求するメリットは、商品・サービスひいてはビジネスモデルそのものにイノベーションをもたらすというポテンシャルにある。イノベーションは、消費者との絆を拡げかつ深め、結果として、シェア拡大や優良顧客確保などマーケティング戦略に恩恵をもたらす可能性を秘めている。

 前述したようにインサイト追求の使命は、消費者行動のスイッチを見つけ出すことにある。そこには、顧客ターゲットに訴求する商品・サービスの開発につながるヒントが隠されている。

 消費者行動の「ツボ」をおさえ、「私はこれが欲しかったんだ」と思わせるような商品・サービスは、購買意欲をかきたて、結果としてブランドポジションの強化にもつながるのだ。

インサイトのデメリット

 インサイトを追求するデメリットは、マーケティング活動における実践的手法として確立していない点にある。「人間の行動は非合理で無意識に支配されている」との考え方には、反論も多い。丹念に分析していけば、人間の行動は合理的に説明がつくとする立場だ。

 インサイトの宣伝・販促活動への活用は、まだまだ実験段階で手探りで行われている。仮説をマーケティングの現場で実践・検証し、知見として積み上げることができれば、インサイトに基づいたマーケティング活動も批判にも耐えうる実践的手法として確立していくはずである。

インサイト取り組みの実例

 インサイトの取り組みの成功事例として、ライオンの液体洗剤「トップ ナノックス」を取り上げる。

 トイレタリー市場においては、国内の雄である花王とグローバルプレーヤーP&Gが双璧をなすなか、ライオンは一定のプレゼンスを示している。液体洗剤市場においてもライオンの「トップ」は花王の「アタック」に次ぐNO2の地位を、P&Gの「アリエール」と競っている。とくに若年層の支持は高く、アタックに迫る勢いだ。

 成功をもたらしたカギの1つは、匂いにある。顧客アンケートで「洗剤を買う時、何を重視するか」と質問すると、「洗浄力」との答えが返ってくる。ところが、洗浄力を強くすれば売れるというわけではない。では主婦の多くは、洗濯物がきれいになったか確認するときに何をするか。実は「匂い」を嗅ぐのである。

 そこで「トップ ナノックス」のマーケターは、「匂いまで落とす」をキャッチコピーに宣伝・販促活動を展開、コアな顧客層の指示を取りつけ、シェア確保につなげたというわけだ。

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