ロングテールとは?パレートの法則とはどう違う?ECマーケティングで必須のロングテールについて解説!

読み方:ろんぐてーる
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ロングテールとは

 ロングテールとは、マーケティング用語で主にインターネット販売において、売れ筋の商品を、販売数の少ない商品群の売り上げ合計が上回る現象のことを指す。オンラインビジネスを行う特定事業者の個別商品を販売ランキング順に並べ、売上実績の数値をグラフ化すると恐竜の尻尾の形に見えることからロングテールと名付けられた。

ロングテールというビジネスモデル

 ロングテール現象が最初に提唱されたのは、米国のWired Magazine誌上で2004年に掲載された編集長(当時)クリス・アンダーソンの記事、「The Long Tail」である。ロングテールはこの記事の中で、オンラインでビジネスを展開する米国のアマゾンやネットフリックスのビジネスモデルの説明のために使われた言葉である。

 実店舗を対象とする「パレートの法則」では、売れ筋のコンテンツが収益の中心であり、売上ランキング順のグラフを作成しても、その形はロングテールとはならない。一方、オンライン店舗の場合、売れ筋から遠く離れたコンテンツでも売上実績をあげることができ、コンテンツ数の増加に伴いグラフのテールが延長され、その総計が全体の売上拡大に貢献することができるという法則を「The Long Tail」の記事で検証している。

ロングテール現象とパレートの法則

 実店舗においては、2割の売れ筋商数が、売上額全体の8割を占めると言われているのが「パレートの法則」である。売上順位で上位20%に入らない商品は、売上がほとんど見込まれないと考えられている。
オンライン店舗でも実店舗と同様と見られていたが、クリス・アンダーソンは「The Long Tail」の記事の中で、どんなに多くの商品数があっても、オンラインショップでは98%の商品が最低月に一度以上のペースで売れて行き、事業全体の売上の拡大に貢献をすると提唱した。

ロングテール戦略導入のメリット

メリットのイメージ
メリットは、オンライン店舗には実店舗と異なり陳列する商品数に制約が無い点である。

 ロングテール戦略を導入するメリットは、オンライン店舗には実店舗と異なり陳列する商品数に制約が無い点である。そのため、売れ筋から年に一度しか売れない商品まで、在庫しているすべての商品をオンライン店舗の利用者に紹介ができ、最大の販売機会が得られる。売れ筋商品に頼らない販売政策であり、安定した売り上げの継続が期待できる。

 またロングテールの右方向にプロットされる商品は、トレンドに左右されないスタンダードなもの、さらにニッチな商品であることが多いため、価格競争に陥ることも無く収益性を維持しやすい。さらに品揃えの豊富さ、ニッチな商品の発見を求める利用者のニーズにも対応ができ店舗としての競争力が向上する。

ロングテール導入後の運営のデメリット

 ロングテール戦略を展開するためには、オンライン店舗のコアとなるホームページを最適な状態に保つ必要がある。オンライン店舗では物理的な店舗スペース確保の経費はかからないが、検索エンジンで上位表示を獲得する方策を含め、個々のコンテンツ内容のレベルアップなど、ホームページ運営コストは無視できない課題となる。

 またロングテールの右方向にプロットされた商品はオーダーを受ける機会が少なくなるが、在庫は必須である。Webで配信できるデジタルコンテンツ商品の場合には問題は無いが、形のある商品については長い在庫期間の経理処理、倉庫や配送に関わる手間と経費の負担も経営上の課題となる。

ロングテールの実例

米アマゾンのロゴイメージ
アマゾンはベストセラーからマニア向けのニッチな書籍まで、膨大な商品数を持つオンライン書店を展開している。(2019年 ロイター/Mike Segar)

 クリス・アンダーソンの記事では、ロングテール検証のモデルとしてアマゾンとネットフリックスなどを取り上げている。ここではアマゾンの例を紹介する。

 アマゾンはベストセラーからマニア向けのニッチな書籍まで、膨大な商品数を持つオンライン書店を展開している。クリス・アンダーソンの記事「The Long Tail」が書かれた当時でアマゾンの取扱書籍の数は約230万種、その中の売上順位13万位以下の書籍の売上が全体の57%を占めていた。オンラインでサービスを提供するアマゾンの場合には、実店舗を対象とする「パレートの法則」は適合せず、延々と続くロングテールが事業全体の売上に大きく貢献するという新しい法則をクリス・アンダーソンは検証している。

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