賞味期限とは?フードロス問題にも大きく関わる賞味期限について徹底解説!

読み方:しょうみきげん
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賞味期限とは

賞味期限とは加工食品を対象とした表示制度で、食品を包装している袋や容器を開けずに、指定された保存方法で保存した場合の「品質が変わらず、おいしく食べられる期限」を指す。

消費期限
賞味期限とは加工食品を対象とした表示制度で、食品を包装している袋や容器を開けずに、指定された保存方法で保存した場合の「品質が変わらず、おいしく食べられる期限」を指す。 Highwaystarz-Photography/i-stock

食品の期限表示には賞味期限と消費期限があり、スナック菓子、カップ麺、缶詰、ペットボトル飲料など日持ちの長い食品の場合には賞味期限、弁当やサンドイッチ、ケーキなど日持ちの短い食品の場合には「安全に食べられる期限」となる消費期限が表示される。

賞味期限、消費期限は基本的に「年・月・日」で表示されるが、缶詰やレトルト食品など長期保存(3ヶ月以上)ができる食品の場合には「年・月」での表示が可能となっている。これらの表示は、食品表示法により義務付けられている。

食品の表示方法の変更、製造年月日賞味期限

食品の期限表示は、1995年に製造年月日表示から賞味期限と消費期限へと移行している。移行の理由は、国際規格との整合性を取ること、保存技術の進歩により食品を見ただけでは日持ちの状態が分からないなどである。

表示期限の区分

賞味期限は、製造日から概ね6日以上と表現されている。ただし、賞味期限を超えた場合でも「品質が保持されていることがあるもの」とされている。消費期限は、製造日から概ね5日以内と表現されている。

なお砂糖や冷菓、酒類など「容器や包装の表示可能面積が30cm2以下のもの、品質の変化が極めて少ないもの」については表示の省略ができるものがある。

賞味期限が表示されるメリット

メリットのイメージ
賞味期限を表示することで得られるメリットは、製造者と販売者の場合、品質と出荷管理が容易になり、また食品の信頼性を消費者にアピールできる点である。

賞味期限を表示することで得られるメリットは、製造者と販売者の場合、品質と出荷管理が容易になり、また食品の信頼性を消費者にアピールできる点である。消費者にとっては、表示を確認することで安心して購入できる。さらに賞味期限が間近となった食品は割引価格で販売されるケースもあり、安心と経済的なメリットも得られる機会となる。これは、消費期限の表示についても同様である。

賞味期限が表示されるデメリット

賞味期限が表示されているので、消費者は期限日が遠い食品を選ぶのが一般的な購買行動となっている。一方で、店舗側としては店頭における陳列期間を長く保つため、食品の納品期限と販売期限をそれぞれ賞味期限から逆算して3分の1ずつとする業界ルールを適用することが多い。そのため賞味期限までに3分の1の期間を残しながら、廃棄せざるを得ない状況が生まれている。食品の生産者、卸業者、小売業者それぞれにとって、賞味期限の表示は営業面の損失となって現れている現状がある。また原材料から販売に至るまでの資源、エネルギー、労働力などがフードロスという形をとって、社会的なデメリットを生み出す要因ともなっている。

賞味期限表示とフードロス対策の事例

令和元年10月に「食品ロスの削減の推進に関する法律」が施行され、食品製造業者、卸・小売事業者、消費者に対する要望が記されている。その中で賞味期限に関連する事項は次の通り。

  1. 食品 製造業
    製造方法や容器包装の工夫などによる賞味期限の延長と、賞味期限の表示を「年月表示化」など大括り化を推奨
  2. 食品 卸売・小売業
    製造業に対する厳しい納品期限の緩和を推奨
  3. 消費者
    賞味期限や消費期限など、期限表示を理解した上で、陳列品の手前取り、見切り品の購入を推奨
    ここでは、②食品 卸売・小売業と③消費者に関わる取り組みの具体例を紹介する。

小売事業者による納品期限の見直し

業界の商慣習である3分の1ルールを緩和する取り組みも始まっている。イオンやイトーヨーカ堂などでは、飲料や菓子(賞味期限180日以上)の納品期限を賞味期限の3分の1から2分の1へ延長、酒類の納品期限を製造後1か月から3か月へ延長するなどの取り組みが見られる。

小売事業者における販売期限延長の試み

京都市では平成29年度から30年度にかけて、店舗における食品の「賞味期限間近まで販売期間を延長」する社会実験を実施した。この社会実験では、取組品目全体で約32% (前年同月比)の廃棄抑制を達成した。また店舗での消費者アンケートでは、「販売期限の延長により食品ロス削減に取り組むことはよいこと」とする回答が8割以上、「販売期限の延長を積極的に進める食品スーパーに好意を抱く」が9割を超えるなど高い評価を得ている。

平成29年度に2事業者5店舗からスタートした実験であるが、本格実施を進めている令和2年度では66事業者827店舗(スーパーマーケット、百貨店、ドラッグストア、コンビニエンスストア)が実施するまでに発展している。

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