ランニングコストとは?ランニングコストの抑制が低価格を生む?実例を交えて紹介!

読み方:らんにんぐこすと
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ランニングコストとは

ランニングコストとは、店舗など事業を運営するのに経常的にかかる費用のことである。具体的には、商品仕入れコスト・水道ガス電力料・通信費・販売スタッフ人件費・店舗家賃などが該当する。

ランニングコストイメージ
ランニングコストとは、店舗など事業を運営するのに経常的にかかる費用のことである。具体的には、商品仕入れコスト・水道ガス電力料・通信費・販売スタッフ人件費・店舗家賃などが該当する。

一方でイニシャルコストは、いわゆる初期費用のことで店舗などを始める際に発生する。具体的には、仲介手数料や返ってこない店舗の権利金、内装費用、テーブルなどの什器類設置、飲食店なら厨房および調理器具の調達、衛生および消防設備などが含まれる。

ランニングコストのメリット

ランニングコストのメリットは、EDLP(エブリデー・ロープライス:毎日低価格)の実現にある。

かつて食品スーパーが多く採用していたのがいわゆるハイアンドロー戦略で、これは定期的に特売を繰り返すものだ。結果的に粗利益率が低下する上に、受注変動が激しくなってサプライチェーンも安定しない。下手をすれば売れ残りで陳腐化在庫を抱えかねない。一方で、EDLPなら常に価格は一定で、安定した収益を確保できる。さらには効率的なSCM(サプライチェーンマネジメント)も実現できるのだ。

メリットのイメージ
ランニングコストのメリットは、EDLP(エブリデー・ロープライス:毎日低価格)の実現にある。

ただし、一時的に低価格で勝負してくるハイアンドロー店舗に勝つためには、ランニングコストを抑え小売価格の水準自体を下げなければならない。でないと、価格に敏感なお客は競合に流れていってしまう。つまり、EDLP実現はローコストオペレーションが前提なのだ。

ランニングコストのデメリット

ランニングコストのデメリットは、無理なローコストオペレーションによる「売る力の喪失」にある。

ローコストオペレーションにおいては、チラシ頼みの見直しなど販促効率改善・店舗オペレーションのばらつき解消・浅く広い商品配置の見直し・オペレーションのセンター化といった業務改善努力を通じて低コストを実現するのが基本だ。

ところがこういった根本的な施策ができない店舗では、店舗ユーティリティの定期点検簡素化や部品交換省略、棚什器のスペックダウン、褪色してもメンテナンスされない店看板、警備や清掃委託の見直し、仕入商品のグレードダウン、社員スタッフのパート転換など、小手先のコスト削減に走りがちだ。店舗スタッフのモチベーションは下がり、商品・店舗・サービスのクオリティーが落ち、やがて顧客の足は遠のき肝心の売上が落ちていくのだ。そして、一度離れたお客を呼び戻すのはとても難しい。

ローコストオペレーションにおいてランニングコスト削減は最終的なゴールだが、あくまで業務改善努力の結果であることを忘れてはいけない。

ランニングコストの実例

業務スーパー上野広小路店。コンパクトな店の中に激安商品がぎっしりと並べられている
業務スーパーの成長を支えるのが、自社プライベートブランド(PB)商品の企画開発力と、競合を寄せ付けないローコストオペレーションだ。

ランニングコストの実例として、神戸物産(兵庫県/沼田博和社長)の「業務スーパー」の取り組みについて紹介する。業務スーパーは、既存店売上の伸びと新規出店拡大に支えられ好業績を続けている。

ちなみに業務スーパーを運営する神戸物産は2014年10月期以来8期連続で増益を続け、20年10月期も過去最高を更新する見通しだ。セグメント別にみると、主力の業務スーパーがグループ全体の売上・利益伸長をけん引している。

業務スーパーの成長を支えるのが、自社プライベートブランド(PB)商品の企画開発力と、競合を寄せ付けないローコストオペレーションだ。業務スーパーは、自社工場で生産したPB商品のウエイトが高い。つまり製販一体で低コストを実現しており、言い換えればユニクロの食品バージョンとも呼べる。

さらに、店舗内の業務や作業については、徹底したムリ・ムダ・ムラの排除が実践されている。たとえば業務スーパーは段ボール陳列を採用、梱包パッケージをそのまま棚として活用しているので、品出しのために倉庫を行ったり来たりしなくてよい。奥行きの深い棚や容量の大きい冷凍ケースも、同様に品出しの効率化に寄与している。

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