オーバーストアとは?オーバーストアの原因とデメリットは?実例を交えて解説!

読み方:おーばーすとあ
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オーバーストアとは

オーバーストアとは「店舗過剰」を意味する和製英語で、ある商圏において小売店などの商業施設が、需要を超えて出店している状態を指す。

オーバーストアイメージ
オーバーストアが生じる原因には、①大資本の出店戦略、②景気変動、③消費者の購買行動の変化、④人口減少がある。

オーバーストアになると過剰競争が生じ、競合し合う店舗のすべてが生き残るのは困難となる。競争に敗れた店舗が撤退するか、共倒れになる可能性が高い。商圏が狭く、総需要が小さい地方都市の商業エリアでオーバーストアが生じるケースが多いとされている。

オーバーストアが生じる原因

オーバーストアが生じる原因には、①大資本の出店戦略、②景気変動、③消費者の購買行動の変化、④人口減少がある。

この中でもっとも多いのは、①大資本の出店戦略だ。「ダイエー」の躍進に象徴される1960年代のスーパーマーケット隆盛期には、全国の商業圏に大資本のスーパーが進出して、転廃業を迫られる地元小売店が続出した。

それ以降は、スーパーマーケットはショッピングセンターというより大きな商業施設に姿を変えて、やはり大資本が全国で出店戦略を展開した。そこでも各地でオーバーストアが生じた。

74年に施行された大店法(大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)は、法律面からオーバーストアに歯止めをかけるものだが、米国からの外圧などがあり2000年に廃止された。

②景気変動によるオーバーストア状態は、90年代のバブル崩壊によって生じたケースが典型的である。膨らみ続ける消費者の購買意欲をあてこんだ出店ラッシュは、長期的な消費意欲の冷え込みとともにオーバーストア状態を生んだ。

③消費者の購買行動の変化では、ネットショッピングの普及によるオーバーストアがある。「アマゾンで本を買う」が一般化して書店の廃業が増えたのがその典型例だ。

④人口の減少傾向が続くのもオーバーストアを生じる要因である。巨大団地の住民高齢化も、近隣の食料品店のオーバーストア状態を招く。

オーバーストアのデメリット

メリットのイメージ
オーバーストア状態が店舗に及ぼすデメリットは、言うまでもないが供給過剰による売場面積当たりの販売額の低下である。

オーバーストア状態が店舗に及ぼすデメリットは、言うまでもないが供給過剰による売場面積当たりの販売額の低下である。それによって店舗は、転廃業、撤退を含めた厳しい対応を迫られる。

地域社会にとってもオーバーストアは、地元商店街のシャッター通り化やショッピングモールの廃墟化、それによる治安の悪化などのデメリットがある。

オーバーストアの実例

佐賀県上峰町坊所の「イオン上峰店」は、95年に前身の「上峰サティ」が開業してから24年後の19年2月に閉店した。原因は、2000年以降に近隣自治体で大型商業施設の進出が続きオーバーストアとなったことだ。開業当初は、九州初の複合型映画館が併設されたこともあり、隣接する「中の尾団地」では、半分以上が売れ残っていた区画地(全210区画)が完売するなどの「サティ効果」を生んだ。

店舗跡地には空き店舗となった建物がそのまま残り廃墟となっている。上峰町は、22年3月末までに建物を解体し、体育館や道の駅などを建設する方針だ。閉店前に町はイオン九州と土地と建物を無償で譲り受ける基本合意を結んでいたが、議会の反対や協力業者の募集などで、再開発の着手に時間がかかっていた。

岐阜県本巣市(人口3.4万人)の郊外型ロードサイド店舗「リバーサイドモール」は、00年3月に開業し、11年3月に閉鎖された。17年に解体されるまで廃墟として放置された。閉店の原因は、同市内にショッピングモール「LCワールド本巣」「モレラ岐阜」が相次いで開店し、近隣の商圏内にもイオンモールなど大型モールの開店が相次いだことによるオーバーストアだ。6年間放置された跡地には、「イオンタウン本巣」が建設され17年12月に開店した。

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