無店舗販売とは?今流行りのあの業態も無店舗販売?!メリット・デメリットを解説!

読み方:むてんぽはんばい
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無店舗販売とは

無店舗販売とは、文字通り店舗を持たない販売形態を意味する。

朝市の様子
千葉県勝浦市で開かれる朝市は、400年以上におよぶ歴史を誇る。i-stcok/Dane Gillett

大昔から商人は一定の場所に店を持たず、世界中を移動しさまざまな商品を流通させてきた。フェニキア商人は、交易を通じて特産品や珍しい商品を地中海諸国にもたらし、ギリシャ・ローマ文明の礎を築いたといわれている。

朝市も、古くからある無店舗販売形態だ。千葉県勝浦市で開かれる朝市は、400年以上におよぶ歴史を誇る。神奈川県葉山町の「葉山マーケット日曜朝市」は、県外も含め多くの人々が集まり賑わいを見せる。

最近では、ネットショップが新たな無店舗販売として脚光を浴びている。無店舗販売は、時代の変化に応じて様々なバリュエーションを派生させながら発展してきたのだ。

無店舗販売のメリット

メリットのイメージ
無店舗販売のメリットは、開店スピード・低コスト・さらには顧客接点にある。

無店舗販売のメリットは、開店スピード・低コスト・さらには顧客接点にある。店舗を始める場合、貸店舗を探して内装工事を施したり、さらには行政の許可を得たりと開業準備に1年以上かかるケースも少なくない。

一方でたとえばネットショップ開業の場合、楽天などのポータルサイトへの出店なら準備期間を大幅に短縮できる。

低コストも魅力だ。飲食店を始めようとすれば、賃貸物件にしても保証料や厨房・客席の改装に1000万円以上かかることも少なくない。毎月の家賃も重くのしかかる。一方でキッチンカーの初期投資は、軽ワゴン(新車)を業者委託で改造した場合で300万円台が相場だ。さらに、中古車ならもっとコストを抑えられることを考えれば相当安上がりだ。さらに店舗の立地に縛られないため、顧客接点も拡げられる。移動スーパーにせよ訪問販売にせよ、集客が見込めそうなエリアへの進出は店舗展開よりはるかに容易だ。さらにECなら、日本全国さらには国境を越えて見込み客とつながることができる。

無店舗販売のデメリット

無店舗販売のデメリットは、参入障壁が低いだけに過当競争に陥りやすいこと、店舗がない分だけ顧客行動が制約されてしまう点にある。

コロナ禍の影響もあって、オフィス街における昼時のキッチンカーもすっかり見慣れた光景だ。感染リスクを考えるとあまり外食をしたくない、だからテイクアウトでと考えるオフィスワーカーが利用するようだ。一方でキッチンカー同士の競争は厳しく、開業3年後には7割が撤退を余儀なくされるといわれている。参入も増え続け、最近は個人による起業だけでなく大手資本も進出してきた。競争環境はますます厳しくなるばかりだ。

顧客行動の制約も課題だ。ECや訪問販売では、顧客が自由に商品を手に取ることができない。ついで買いも起こりづらい。移動スーパーのような業態でも品数は限られてしまう。売場スペースがないために、顧客の購買行動を制約してしまうのだ。さらにECの場合は、対面ではないため販売スタッフから説明を受けることもできない。

無店舗販売の実例

無店舗販売の実例として、フジ(山口普社長)による移動スーパー事業を紹介する。愛媛県松山市を本拠とするフジは、中国・四国地方を中心に展開するスーパーチェーンだ。

少子高齢化・地方過疎化が進む中で、後期高齢者を中心に買物難民は確実に増加している。移動スーパーは、不自由な暮らしを強いられている消費者に、日々の暮らしに必要な食料品を届けるだけでなく、商品を実際に目で見て手で触れる買い物の楽しみを提供するものだ。

フジ おまかせくん
「おまかせくん」は専用車両に食品・日用品約400アイテムを積み込み、巡回販売を行う

フジは、2015年より移動スーパー「おまかせくん」を始めた。その後は順次エリアを拡大、現在は中四国地方4県の27店舗(愛媛16店・広島8店・香川1店・山口2店)に48台を配置し、144ものルートを回っている(2021年12月現在)。当初は課題だった収益化にもめどをつけ、2022年7月までには高知・徳島にもエリアを拡大する計画だ。

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