コト消費とは?モノ消費との違いは?メリット・デメリットを徹底解説!

読み方:ことしょうひ
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コト消費とは

コト消費とは、モノ(商品)の使用や所有ではなく、コト(体験)に重点をおいた消費行動を指す。日本がまだ貧しかったころ、60年代の高度成長期は冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビの「3種の神器」、次の70年代は車(CAR)・カラーテレビ・クーラーの3C(新三種の神器)を持つのが庶民の夢だった。コト消費と対極的な、モノ消費の時代だ。やがて神器が家庭に行きわたり普及率が向上してくると、消費者はモノの所有だけでは満たされなくなってきた。

浅草
浅草は、国際通り・仲見世・雷門(東部および柳小路)など33の商店街で構成される一大繁華街だ。一時は衰退の一途をたどっていた浅草・仲見世だが、2010年代に入って訪日観光客の恩恵もあって息を吹き返す。

ブランド志向に見られるようにモノ消費が完全に衰退したわけではないが、消費者の関心は徐々にモノの所有から離れていく。2000年代に入ってくるとコト消費へのシフトが顕在化し、パワースポット・自然体験・フィットネスさらにはアイドルブームなど多くの体験型サービス・商品があらゆる分野に登場してくる。少し前にブームを呼んだRIZAPも、コト消費の代表格と言える。

コト消費のメリット

コト消費のメリットは、モノ消費にないビジネス機会の可能性にある。衰退しつつある業界にも一発逆転の起爆剤となりうるわけで、典型的なのが音楽業界だ。

CD・レコードが売れなくなったといわれて久しい。ピークの1998年には6000億円を超えていた市場だが、2000年には音楽配信を含めても3000億円を切る縮小ぶりだ。厳しい状況下で業界関係者が期待を寄せるのが「ライブ」だ。

2014年度にはコンサート収入(演劇・ミュージカル・・バレエ・ダンス含む)が音楽ソフト(CD・レコード・配信)収入を上回り、コロナ禍前の2019年には6300億円近くに達した。もちろん、棚からぼた餅が落ちてきたわけではない。人気アーティストの絶対数という供給制約がある中で、大規模施設の整備・プロモーションによる1回あたりの動員数増加で収益拡大を図ってきたのが奏功したのだ。

コロナで大打撃を受けたライブビジネスだが、アフターコロナに向け復活が期待される。

メリットのイメージ
コト消費のメリットは、モノ消費にないビジネス機会の可能性にある

コト消費のデメリット

コト消費のデメリットは、「飽きられるリスク」だ。いったんいわゆる「バズった」としても、今の世の中は飽きられるのも早い。

フィットネス・ネールサロン・ボトックス・整体…コト消費は今や街中にあふれている。そしてInstagram、TikTokなどさまざまなSNSを通じて豊富な情報をリアルタイムに入手できる。
実はこのリアルタイムな情報こそが諸刃の剣で、体験に既視感を与えてしまう。そのため1回行ったら満足、ひどい場合はSNS視聴だけで「体験した」気になってしまう。

では飽きられないようにするにはどうすればよいか、ポイントは3つある。

1番目は、自らが主役であることだ。参加型のコト消費は、見聞きするだけでなく体験してみなければ価値がわからない。

2番目は、連帯意識だ。RIZAPも、トレーニングや食事メニューの指導を通じたコーチとの連帯感醸成がウリになっている。

3番目が、二度と味わえない体験であることだ。達成感や参加者との交流など、再現できない経験こそが消費者を引き付ける

コト消費の実例

コト消費の実例として、東京・台東区の浅草商店街の取り組みについて紹介する。浅草は、国際通り・仲見世・雷門(東部および柳小路)など33の商店街で構成される一大繁華街だ。銀座・渋谷・新宿といった繁華街に客を奪われ、一時は衰退の一途をたどっていた浅草・仲見世だが、2010年代に入って訪日観光客の恩恵もあって息を吹き返す。

原動力となったのは、浅草サンバカーニバル・人力車・隅田川の花火、そして2012年5月に開業した東京スカイツリーの存在だ。しかも、メジャースポットだけではない。ジャンボメロンパンが人気の花月堂や、歌川広重が取り上げた駒形堂などニッチな人気スポットが浅草の魅力を深いものにしている。

浅草の復活は、訪日観光客によるところも大きいがそれだけではない。街路の整備・メディアを通じた浅草の魅力発信といった地元商店街を中心とした取り組みがあってこそ実を結んだのだ。

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