インストア加工とは?インストア加工のメリット・デメリットを徹底解説!

読み方:いんすとあかこう
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インストア加工とは

インストア加工とは、スーパーなどの店舗内で食品を加工・包装する方式のことである。肉・野菜・魚などの生鮮食品をインストア加工する場合は、仕入れたその日に店の加工場で小分け・包装され、商品棚に並べられる。対してアウトパック加工とは、プロセスセンターなどで集中加工し、各店舗に出荷する方式を意味する。

インストア加工
インストア加工とは、スーパーなどの店舗内で食品を加工・包装する方式のことである。

日本でインストア加工を始めたのは、関西スーパーマーケット(兵庫県)とされている。その後インストア加工は全国のスーパーマーケットに急速に普及、とくに生鮮食品加工の定番スタイルとなった。なお、インストア加工は生鮮食品の専売特許ではなく、総菜や半調理品を店舗内で加工するケースもある。

ちなみに海外では、インストア加工はそれほど普及していない。また、アジアのスーパーマーケットではすべてアウトパックで加工場を持たない店舗も少なくない。プロセスセンターにおける衛生管理や鮮度管理技術の向上もあって、最近では日本国内においても生鮮品加工の全部または一部をアウトパックに移行するケースも増えてきた。

インストア加工のメリット

メリットのイメージ
インストア加工のメリットは、エリアニーズに応じた商品差別化と、鮮度アップによる「できたて・つくりたて」の訴求にある。

インストア加工のメリットは、エリアニーズに応じた商品差別化と、鮮度アップによる「できたて・つくりたて」の訴求にある。

日本の消費者は、とくに鮮度にこだわる。たとえばカツオの刺身を例に取ってみても、消費者はパックを手に取り、色が少しでも悪ければ棚に戻してしまう。さらに、こうしたことがあまり続くようだと、行きつけのスーパーを替えられてしまうこともある。だからこそ、生鮮食品は鮮度重視のインストア加工が主流になっている。

総菜にしても、「この店ならでは」の商品は訴求力が高い。そして各店舗が独自性を発揮するには、インストア加工が大きな武器となる。

インストア加工のデメリット

インストア加工のデメリットは、人材やスペース確保の難しさ・コスト増・品質のばらつきなどがある。メリットだけを考えれば、インストア加工をすすめれば競合に対して優位に立てそうだが、現実は違う。

たとえば牛肉なら、20kg前後で店舗に入ってきた部分肉(ブロック)を小分けし、筋や余分な脂肪を取り除いたうえでパッキングする。ひき肉にしたり値札を貼ったりという作業も加工場で行われる。

加工場には、冷蔵庫・各種加工・洗浄設備などを設置しなければいけない。生ものを扱うだけに、電解水生成装置などの衛生設備も欠かせない。一定のスペースが必要で、コンビニはもちろん都市型ミニスーパーにおいてもスペース確保は難しい。

さらに、一定のスキルを持つ人材の確保も欠かせず、有資格者(たとえば肉なら食肉処理技能士)の設置が必要になる場合もある。店舗別に加工場・人材を確保しなければならないので、当然コスト的には割高になる。

最近では、プロセスセンターで二次加工・三次加工したブロック肉を仕入れ、インストア加工のコストを抑えている店舗も増えてきた。

インストア加工の実例

インストア加工の実例として、都市型ミニスーパーにおける総菜インストア加工の取り組みについて紹介する。

大都市圏では近年、「車に乗らない」生活様式の浸透もあり、気軽に歩いて立ち寄れる店舗への需要が高まっている。各流通チャネルも変化に対応すべく、まいばすけっと(千葉県)、ヨーク(東京都)など都市型ミニスーパーの展開を急いでいる。

ミニスーパーの主力商品は、生鮮食品と並んで総菜などの加工品だ。当然コストアップにつながるが、それでも差別化による付加価値アップに勝負をかけたのだ。

一方でまいばすけっとは、インストア加工の総菜を一切置いていない。どちらかといえば生鮮食品に重点を置いた販売戦略を採っているのだ。

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