サントリー、「企業向け水源涵養研修」を開始 「サントリー 天然水の森」等で培った知見を提供

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サントリーの「企業向け水源涵養研修」の様子
(サントリーホールディングス ニュースリリースより)

 サントリーホールディングス(大阪府)は5月、新たに「企業向け水源涵養研修」を開始した。企業や自治体、教育機関を対象に、同社の水源涵養活動「サントリー 天然水の森」の知見を、レクチャーと現地体験を通じて提供する有償プログラムだ。

 近年、老朽化した水インフラや水道料金の高騰、水源涵養林の荒廃など、水資源を巡る課題が深刻化している。水は企業にとって重要な経営資源であり、水リスクの顕在化は特に製造業の操業に大きな支障をもたらす。こうした背景を受け、一部自治体では、地下水を取水する企業に水源涵養などの環境保全活動を義務づける条例も施行されている。

 サントリーは2003年より全国で「天然水の森」プロジェクトを展開し、現在では12,000ヘクタール超の森林で涵養活動を実施。地下水使用量の2倍以上を自然に還元する「ウォーター・ポジティブ※1」を実現している。

 研修は、全国5カ所の「天然水の森※2」と近隣工場※3を会場に通年で実施。CSR・サステナビリティ担当者や自治体職員などを対象に、サステナビリティ経営や企業ブランディングへの応用などを学ぶ内容だ。現地では、水源涵養の現場を実際に体感できる。

 「天然水の森」では、地質や植物の調査に基づき、30〜100年先を見据えた整備計画を策定。グループ内の水科学研究所の科学的知見※4を活用し、森林整備活動を行っている。

 このような活動実績から昨今、他企業や自治体からの見学要望が増えており、今回の研修はそうした関心に応える正式なプログラムとなる。

 サントリーは今後も研修を通じて、水資源の持続可能な活用や社会的責任のあり方を、他企業とともに実践・共有し、共創を進めていく考えだ。

※1:「ウォーター・ポジティブ」とは、サントリーグループの定義で、取水量以上の水を自然の水循環に還元する状態を指す。
※2:「サントリー 天然水の森」は、サントリーグループが全国各地で展開する水源涵養活動の拠点。北アルプス(長野県)、南アルプス(山梨県)、天王山(大阪府)、奥大山(鳥取県)、阿蘇(熊本県)などが含まれる。
※3:研修で訪問可能な工場には、北アルプス信濃の森工場(長野県)、南アルプス白州工場・白州蒸溜所(山梨県)、〈天然水のビール工場〉京都(京都府)、山崎蒸溜所(大阪府)、奥大山ブナの森工場(鳥取県)、九州熊本工場(熊本県)がある。
※4:水科学研究所は、サントリーが水に関する研究を行うために設立した社内機関。研究成果は「Water Security Compass」や、関連会社Water Scape株式会社の活動にも活用されている。

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