3月の実質賃金2.1%減=物価高で3カ月連続マイナス

厚生労働省が9日発表した3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、現金給与総額(名目賃金)から物価上昇の影響を差し引いた実質賃金は、前年同月比2.1%減だった。マイナスは3カ月連続で、減少幅は2月の1.5%から拡大した。コメや食料品の値上がりが家計を直撃したためで、物価高に賃上げが追い付かない状況を抜け出せずにいる。
基本給と残業代などを合わせた名目賃金は前年同月比2.1%増と、39カ月連続のプラス。しかし、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の伸び率は4.2%と高止まりし、実質賃金は差し引きでマイナスとなった。
今回初めて国際比較のために算出した、帰属家賃を含む総合指数に基づく実質賃金は1.5%の減少となり、こちらも3カ月連続のマイナス。長らくプラスが続く米国や英国、ドイツに比べて低い水準が続いている。
実質賃金は昨年5月まで過去最長の26カ月連続でマイナスを記録した後、ボーナス支給時期を中心にプラスに転じたが、物価高の影響で再びマイナスが続いている。厚労省は「今春闘の結果が反映される4月分以降、名目賃金は一段と上がる」とみている。一方で「実質賃金のプラスが定着するかは不透明だ」とも指摘した。