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中国、進むキャッシュレス=政府、現金受け付け指示

元上都遺跡の博物館にあるモバイル決済用のQRコード
〔写真説明〕元上都遺跡の博物館にあるモバイル決済用のQRコード=27日、中国内モンゴル自治区正藍旗(時事通信社)

 中国でキャッシュレス化が急速に進んでいる。街中で現金を使う機会はほぼなくなり、仮に使える場合でもお釣りの用意がないことがしばしば。訪中外国人が支払いに困るケースが相次いでおり、政府は今春、主要な観光地や宿泊施設に対し、現金や海外で発行されたクレジットカードでの支払いを受け付けるよう異例の指示を出した。

 北京市中心部から車で5時間ほどの距離にある世界遺産の元上都遺跡(内モンゴル自治区)。27日に訪れると、日本で発行されたクレジットカードは使えなかった。政府の指示は4月上旬に出ており、同遺跡のスタッフは「間もなく使えるようになる。たくさんの外国人に来てほしい」と強調した。

 もっとも、中国メディアによると、コロナ禍前の2019年時点で旅行者全体に占める外国人の割合は2%程度だった。北京駐在の旅行業界関係者は「大半の事業者にとって、外国人対応の強化は手間とコストがかかるだけでメリットが少ない」と指摘した。

 北京の飲食店経営者は「うちでは現金を使えないし、海外のカードを使えるようにする予定もない」と打ち明けた。「支付宝(アリペイ)」や「微信支付(ウィーチャットペイ)」といった中国独自のモバイル決済サービスは現在、海外カードとひも付けられるようになっており、「外国人もそれを使えば良い」と話す。

 先の関係者は「外国人の中国への旅行はどんどん難しくなっている」と語った。 

(正藍旗=中国内モンゴル自治区=時事)