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物流コスト上昇、9割超が懸念=24年問題、備え「不十分」2割―大手72社・時事通信アンケート調査

首都高速道路湾岸線を走るトラック
〔写真説明〕首都高速道路湾岸線を走るトラック=2023年7月25日、東京都品川区(時事通信社)

 トラック運転手の不足や物流停滞が懸念される「2024年問題」を巡り、9割超の荷主企業が物流コストの上昇を予想していることが、時事通信のアンケート調査で明らかになった。約2割は備えが不十分と認識しており、輸送手段確保や収益悪化を懸念する声も多く聞かれた。企業が24年問題を深刻なリスク要因と位置付けていることが改めて浮き彫りになった。

 調査は23年12月に実施。小売りや製造業を中心に、トラックで輸送される荷物の送り手や受け手となる大手企業100社を対象とし、72社から回答を得た。

 それによると、24年問題で97%の企業が物流コストの「大幅」「一定程度」の上昇を見込んだ。対応できる体制について、「整えている」とした企業が78%に上る一方、22%は「まだ十分ではない」「十分かどうか分からない」と回答した。

 運送事業者からの値上げ要請には、大半の企業が「すでに応じている」「できるだけ応じていく」とし、「応じるのは難しい」は3%だった。  物流コストの価格転嫁について聞いたところ、「すでに転嫁している」が36%、「転嫁を進める方針」が70%。一方、「転嫁したいが難しい」は25%、「転嫁しない」も4%あり、一定数の企業は自社でコストを抱え込むことになりそうだ。

 24年問題に対する具体的懸念としては、運賃の「予想を上回る上昇」(富士フイルムホールディングス)や「さらなる値上げ要請」(花王)、「運転手の追加雇用」(ファミリーマート)など、多くの企業が一段のコスト上昇を憂慮。東芝や日本製鉄からは「業績悪化」への不安も聞かれた。

 また、「繁忙期」(ロッテ)や「緊急出荷」(エーザイ)での輸送手段確保に懸念を示す企業も多く、三菱電機や伊藤忠商事は発注から納入までの「リードタイム」が長くなるリスクを指摘。「長距離ルート改善が必要」(日産自動車)など遠隔地輸送への影響を挙げる企業もあった。

 政府は大手荷主企業に対し、物流効率化に向けた計画策定を義務付ける法整備を24年中に進める方針。7割超の企業は計画を「策定済み」「策定予定」としたが、4分の1は「未定」と答えた。

 運転手の労働時間の約2割を占める荷物の積み下ろしやその待ち時間について、政府が求める「2時間以内」を達成している企業は82%、「1時間以内」も47%に上った。しかし、待ち時間などを「把握していない」も16%あり、対応にはばらつきが見られた。