【ワシントン時事】米労働省が14日発表した10月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.2%上昇した。伸び率は前月(3.7%)を下回り、4カ月ぶりに鈍化した。市場予想(3.3%)も下回った。最近のガソリン価格下落などを受けた。前月比では横ばいとなり、2022年7月以来1年3カ月ぶりの低水準だった。
一方、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は前年同月比4.0%上昇と、前月から小幅の減速にとどまり、インフレ圧力の根強さを示した。
項目別では、ガソリンが5.3%低下。コロナ下での供給不足により値上がりしていた中古車・トラックは7.1%低下と大きく下がった。一方、サービス価格(エネルギー関連を除く)は5.5%上昇と、引き続き高い伸びだった。
米国のインフレ率は、昨年半ばのピークから大きく低下。ただ、強い労働市場を背景とした賃金上昇などからサービス価格が高止まりしており、コア指数は下げ渋っている。
米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレが「依然高過ぎる」(高官)と警戒し、追加利上げを「適切ならためらわない」(パウエル議長)としている。政策金利が既に高水準となる中、金融引き締めが行き過ぎて景気悪化に陥るリスクと、不十分なためにインフレが再燃するリスクの双方に備え、政策判断を慎重に行う構えだ。
◇10月の米CPI概要
消費者物価指数 0.0(前年同月比3.2)
コア指数 0.2(前年同月比4.0)
エネルギー ▲2.5
燃料油 ▲0.8
ガソリン ▲5.0
衣料 0.1
新車 ▲0.1
中古車 ▲0.8
帰属家賃 0.4
航空運賃 ▲0.9
(注)前月比%上昇、▲は低下。季節調整後。前年同月比は季節調整前