【ワシントン時事】米労働省が2日発表した5月の雇用統計(季節調整済み)によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月から33万9000人増加した。伸びは前月の29万4000人(改定)から拡大し、市場予想(19万人)を大きく上回った。失業率は3.7%と、0.3ポイント悪化した。
就業者数を業種別に見ると、新型コロナウイルス禍からの持ち直しが続く娯楽・接客が前月比4万8000人増、医療は5万2400人増となった。平均時給は前年同月比4.3%増と、前月から伸びは若干鈍化した。
米連邦準備制度理事会(FRB)は、人手不足による賃金上昇が接客などサービス分野の価格を押し上げることを懸念。インフレ率は全般的に低下基調にあるものの、「特に(変動が激しいエネルギー・食品を除いた)コアのサービス部門で、依然として高過ぎる」(ジェファーソン理事)と警戒している。
一方で3月以降、米中堅銀行3行が経営破綻。信用不安から銀行が融資を手控え、景気や労働市場を今後、圧迫すると予想される。1年余りで計5%に及ぶ急激な利上げの影響も今後本格化すると見込まれており、FRBは今月13、14日の金融政策会合で、利上げをいったん停止することも検討する見通しだ。
◇米雇用統計概要
4月 5月
失業率 3.4% 3.7%
非農業部門就業者数 29.4万人 33.9万人
民間部門 25.3万人 28.3万人
物品生産部門 2.8万人 2.6万人
サービス部門 22.5万人 25.7万人
政府部門 4.1万人 5.6万人
労働時間(週平均) 34.4時間 34.3時間
平均時給 33.33ドル 33.44ドル
平均時給伸び 4.4% 4.3%
労働参加率 62.6% 62.6%
U6失業率 6.6% 6.7%
長期失業者(半年以上) 115.6万人 118.8万人
経済的理由でのパート勤務 390.3万人 373.9万人
【注】▲は減少。「U6失業率」は完全失業者、正社員を希望しているパート労働者、働く意欲はあるが職探しをやめた人を加味した広義の失業率。