財務省が18日発表した4月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支の赤字額は4324億円となり、前年同月の半分に縮小した。原油や液化天然ガス(LNG)などの資源価格高騰が落ち着き、輸入額が27カ月ぶりに減少したのが要因。ただ、世界経済の先行きは不透明で、供給混乱で需給が逼迫(ひっぱく)すれば再び資源高に見舞われて赤字幅が再拡大するリスクは拭えない。
原油の輸入額が25カ月ぶりに減少に転じるなど、記録的な高騰が続いていた前年と比べて資源高は一服。全体の輸入額は、前年同月比2.3%減の8兆7208億円だった。
一方、輸出額は、半導体不足などによる生産制約が緩和した自動車の輸出増が寄与し、2.6%のプラスとなった。比較可能な1979年以降で4月としては最大の8兆2884億円だった。
前年の貿易赤字拡大の主因である円安と資源高の影響は抑えられつつある。みずほ証券の小林俊介チーフエコノミストは「この傾向が続けば貿易収支の赤字は前年度と比べて相当小さくなる」と分析する。
それでも、金融不安や長期化するロシアのウクライナ侵攻など懸念材料は尽きない。貿易赤字縮小を支える自動車の輸出も、景気後退懸念で「需要の天井に行き当たる可能性がある」(小林氏)という。さらに、前年に都市封鎖が行われた中国や暖冬だった欧州で、エネルギー需要が反動的に高まれば、資源高の再来も否定できない。
◇4月の貿易統計
輸出額 輸入額 差引額
総 額 82,884 87,208 ▲4,324
(2.6) (▲2.3) (▲49.4※)
〔主要貿易相手別の内訳〕
中 国 14,456 19,065 ▲4,609
(▲2.9) (14.8) (2.7倍※)
米 国 16,569 8,621 7,948
(10.5) (1.0) (23.0)
E U 9,006 9,730 ▲724
(11.7) (▲2.5) (▲62.2※)
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。※は赤字幅の拡大・縮小。▲は赤字または減