民間信用調査会社の帝国データバンクは8日、物価高で倒産した企業が1月に初めて月間50件に上り、7カ月連続で過去最多を更新したと発表した。原油や原材料などの仕入れ価格が上昇する中、販売価格に転嫁しづらい中小・零細企業を中心に業績の悪化が続いている。
物価高倒産を業種別に見ると、ガソリンや軽油価格の高騰が直撃する運輸業が10件と最も多かった。飲食料品製造も5件と多く、原材料費や電気料金といったコスト負担の増加が響いた。帝国データは「物価高が最後の追い打ちとなる倒産は引き続き増加傾向で推移する」とみている。
一方、東京商工リサーチが8日発表した1月の企業倒産件数(負債1000万円以上)は570件で、前年同月から118件増加。10カ月連続で前年水準を上回った。負債総額は前年同月比15.5%減の565億2400万円。コロナ禍を受けた資金繰り支援策などの縮小・終了により、中堅・中小規模の倒産が目立ってきているという。
人手不足への対応も今後、中小企業の事業継続に影響を与える可能性がある。東京商工リサーチは、大手企業で広がる賃上げの波が中小企業の従業員の退職や求人難につながり、「受注機会の喪失も招きかねない」と指摘している。