【北京時事】2022年の中国の経済成長率は3.0%にとどまった。過去30年間では2番目に低い水準で、政府目標の「5.5%前後」にも届かなかった。当局は昨年12月、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を3年ぶりに見直し、景気回復を最優先課題に据えた。
「経済発展で多くの困難や挑戦に直面する」。23年の経済政策を協議した共産党・政府の中央経済工作会議は昨年暮れ、こう総括し、内需拡大や外資誘致など景気対策を急ぐ考えを強調した。劉鶴副首相は17日、スイスで開催中の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で講演し、23年の中国経済について「改善していく」との見通しを示した。
中国では22年、ゼロコロナの影響で全国的に行動規制が強まり、生産やサプライチェーン(供給網)が混乱、消費も冷え込んだ。新車販売台数は前年比2.1%増と、政府の大規模な購入支援策にもかかわらず低迷。日系自動車大手関係者は「相当な支援だったが、ゼロコロナの逆風には勝てなかった」と話す。
関連産業を含めて国内総生産(GDP)の約3割を占めるとされる不動産市場の冷え込みも深刻だ。当局のバブル抑制策を受けた混乱で、22年の住宅販売額は28.3%も減少。バブル崩壊が金融システムを動揺させるリスクが警戒されている。
一方、ゼロコロナの撤回で、昨年12月は感染者が急増した。ただ、大都市の大半で感染ピークは過ぎたとみられ、春以降に景気が回復に向かうとの見方が増えている。
世界銀行は23年の中国成長率を4.3%と予想。欧米の景気減速に伴う外需悪化などのマイナス要因はあるものの、落ち込んだ前年の反動もあり、市場では5%超に回復するとの見方も出ている。
〔写真説明〕ロックダウン(都市封鎖)中の繁華街を歩く防護服姿の男性=2022年4月、中国・上海(EPA時事)
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