日本国内で物価上昇の勢いが一段と高まり、今年春ごろまで4%前後のインフレ率が定着する可能性が出てきた。全国的な物価動向の先行指標とされる東京都区部の消費者物価指数(CPI)は昨年末に一足早く4%へ到達。ゼノデータ・ラボ(東京)の人工知能(AI)は、昨年12月の全国CPIを前年同月比3.9%上昇と予測し、年明け以降も4%程度の高い水準が続くと見通している。
今月10日に総務省が発表した2022年12月の東京都区部CPIは、価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が103.9と前年同月比4.0%上昇。第2次石油ショックの影響が残る1982年4月以来、実に40年8カ月ぶりの高い伸びを示した。
時事通信社がまとめた12月CPIの民間エコノミスト予想の中央値は4.0%上昇だった。一方、ゼノ社が開発したAI「xenoBrain(ゼノブレイン)」が予測(16日現在)する12月の全国CPIの伸び率は3.9%上昇。今年1~3月は4%ラインに達し、4月も3.9%上昇など高い水準が続く。6月に2.9%、7月に1.8%へいったん鈍化を見込むが、8月以降上昇基調を強め、11月には3.7%の高い伸びを予想している。
CPI上昇の主因となっているのがロシアによるウクライナ侵略や急速な円安に端を発するエネルギー資源や食料品など輸入物価の高騰だ。12月の東京都区部CPIでは都市ガス代が36.9%、電気代が26.0%上昇。秋に幅広い値上げが行われた食品も、生鮮食品を除く食料で7.5%上昇した。
ただ、足元では円安はピークアウトし、国際商品市況でも原油価格はウクライナ侵略前の水準まで下落。今後、CPIの伸びも鈍化していく可能性がある。また、今年1月以降総合経済対策に盛り込まれた電気料金やガス料金の支援が始まり、政府はガソリン補助金の継続と合わせて消費者物価を1.2%以上引き下げる効果があるとしている。
一方で電気料金については、東北電力など電力大手5社が家庭向け規制料金の大幅な引き上げを申請済み。東京電力と北海道電力も申請を予定しており、認可されれば4月以降さらなる家計の負担増が懸念される。