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22年の倒産件数は3年ぶりの増加、業種別では小売業のみ減少

東京・新宿の高層ビル街
〔写真説明〕東京・新宿の高層ビル街(EPA時事)

 帝国データバンクの全国企業倒産集計によると、2022年の年間倒産件数は前年を361件上回る6376件となり、3年ぶりに増加した。業種別では、小売業を除く全業種が増加となった。

 コロナ禍での政府支援などがあり倒産件数は減少が続いていたが、22年5月から増加基調に転じ、通年では6.0%増加した。負債総額は2兆3723億円で、前年からほぼ倍増した。6月に民事再生手続きを申し立てた自動車部品大手のマレリホールディングスの負債額(1兆1856億円)が、増加分のほとんどを占めた。

 業種別では、サービス業の倒産件数が12.4%増の1601件となり、5年ぶりに100件以上増加した。特に老人福祉事業での倒産増加が目立った。資材価格の高騰が続いた建設業も12.9%増の1204件と、14年ぶりに増加に転じた。トラック運送などで倒産が増えた運輸・通信業も、22.8%増の334件と大幅に増加した。

 一方、小売業は11.4%減の1207件だった。飲食店が20.6%減の452件となったことが大きい。織物・衣服・身のまわり品小売業や自動車・自転車小売業などでも倒産が減ったが、飲食料品小売業は逆に25.0%増加して、225件となった。飲食料品小売業を中心に負債額も増加、倒産した小売業の負債総額は52.4%増の1741億円だった。

 22年は、借入金の利払いを自前の営業利益で3年以上賄うことができなかった「ゾンビ企業」の倒産が少なくとも332件発生し、3年ぶりに増加に転じた。23年にはコロナ禍に伴う無担保無利子の「ゼロゼロ融資」の元金返済が迫り、実質的に免除されてきた利払いもスタートする。こうしたことから、帝国データバンクでは、「低金利環境でなければ存続できない『ゾンビ企業』に、淘汰の波が強まってきた」とみている。