19年公示地価、地方圏の全用途・住宅地が27年ぶり上昇 商業地も堅調

ロイター
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3月19日、国土交通省が発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、地方圏の全用途と住宅地の上昇率が1992年調査以来、27年ぶりのプラスに転じた。写真は都内で2016年8月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

 

[東京 19日 ロイター] – 国土交通省が19日に発表した今年1月1日時点の「地価公示」によると、地方圏の全用途と住宅地の上昇率が1992年調査以来、27年ぶりのプラスに転じた。全国ベースでみても全用途、商業地、住宅地のいずれも上昇幅が拡大しており、札幌、福岡など地方の主要4市を中心に地価の回復傾向が地方圏にも広がっている。

<商業地、4市除く地方も下落脱出>

全用途の全国平均は同1.2%上昇し、前年の0.7%上昇から伸び率が拡大。4年連続のプラスとなった。地方圏では同0.4%上昇し、27年ぶりのプラスとなった。前年は横ばいだった。

このうち商業地は全国平均で同2.8%上昇となり、前年の同1.9%上昇から伸びが拡大。2008年(同3.8%上昇)以来、11年ぶりのプラス幅となった。

特に札幌市、仙台市、広島市、福岡市の地方4市は同9.4%上昇と前年の同7.9%上昇から伸びが加速し、地方圏全体でも同1.0%上昇と1991年(16.3%)以来のプラス幅に拡大。地方4市を除く「その他」の地方圏は横ばいとなり、1992年以来、27年ぶりに下落から脱した。

東京、大阪、名古屋の3大都市圏も同5.1%上昇(前年同3.9%上昇)に伸び率を高めた。

国土交通省によると、商業地の不動産需要は、景気回復に伴う企業業績の改善が続く中で、収益性の高まりや、金融緩和による良好な資金調達環境もあって「法人投資家などによる不動産取得意欲が強い」という。

具体的には、働き方改革などに対応したオフィス環境改善のための拡張・移転のほか、外国人観光客をはじめとする国内外からの訪問客の増加、インフラ整備や再開発事業などの進展による利便性の向上によって「主要都市の中心部などでは、店舗、ホテルなどの進出意欲が依然として旺盛」としている。

<住宅地、地方全体で27年ぶり上昇>

住宅地は全国平均で同0.6%上昇し、昨年(同0.3%上昇)から伸び率を高めた。

地方4市が同4.4%上昇と高い伸びを示しており、地方圏全体では同0.2%上昇と1992年調査以来、27年ぶりの上昇に転じた。3大都市圏も同1.0%上昇と前年の同0.7%上昇からプラス幅が拡大した。

国土交通省は住宅地について、雇用・所得環境の改善が続く中で、低金利環境の継続や住宅取得支援施策などによる需要の下支え効果もあり、「交通利便性や住環境の優れた地域を中心に需要が堅調」としている。

19年公示地価は全国2万6000の調査地点(うち、福島第1原発事故の影響による7地点は調査休止)を不動産鑑定士2408人が鑑定し、土地鑑定委員会が審査した。

 

(伊藤純夫)

 

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