米GDP、第4四半期は前期比年率+2.6% 予想上回る

2019/03/01 14:30
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2月28日、2018年第4・四半期の実質国内総生産は年率換算で前期比2.6%増と、市場予想の2.3%増を上回った。シカゴで昨年11月撮影(2019年 ロイター/KAMIL KRZACZYNSKI)

 

[ワシントン 28日 ロイター] – 米商務省が28日発表した2018年第4・四半期の実質国内総生産(GDP)(季節調整済み)は年率換算で前期比2.6%増と、市場予想の2.3%増を上回った。個人消費と設備投資が底堅かった。18年通年では2.9%増と、15年以来の大幅な伸びだった。17年の2.2%増から加速した。トランプ米政権が掲げる年間のGDP目標である3.0%をやや下回った。

 

18年第3・四半期は3.4%増だった。

 

ナロフ・エコノミック・アドバイザーズの首席エコノミスト、ジョエル・ナロフ氏は「オバマ政権時代の大半で経験した、持続可能な成長ペースに戻りつつある」「減税効果がおおむね薄れる中、成長急加速がどのようにして可能なのかを言うのは難しい」と話した。

 

キャピタル・エコノミクスの首席エコノミスト、ポール・アシュワース氏は「今年第1・四半期は、これほど良くないだろう」「刺激策の効果が薄れ、過去の金融引き締めに伴う影響が遅れて出続けるため、今年の成長率は2.2%増に減速するとみている」と語った。

 

米政権の1兆5000億ドル規模の減税政策や財政出動の効果が薄れるほか、米中貿易摩擦を背景に企業や個人が消費に慎重になっているとエコノミストらは指摘する。同時に、世界経済の需要も減っているほか、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感が漂い、経済の雲行きは怪しい。

 

米経済が19年第1・四半期にさらに鈍化した兆しがある。1月と2月の製造業関連の統計は大半が弱含んだ。

 

GDPの内訳は、米経済の3分の2以上を占める個人消費が2.8%増と、前期の3.5%増からは鈍化したものの底堅さを保った。

 

インフレ調整後の家計可処分所得が4.2%増、前四半期は2.6%増だった。堅調な労働市場が引き続き消費を下支えした。

 

機器の設備投資は6.7%増と、前期の3.4%増から加速した。

 

米中貿易摩擦とドル高、世界経済の需要鈍化が重なり、輸出が抑制されたほか、企業が輸入品を積み上げた。貿易はGDPを0.22%ポイント押し下げた。前期は1.99%ポイント押し下げた。

 

個人消費が鈍化する中で、積み上げた輸入品の一部は在庫に回されたとみられる。在庫は971億ドルと、前期の898億ドルから増えた。在庫投資は第4・四半期GDPを0.13%ポイント押し上げた。前期は2.33%ポイント押し上げていた。

 

JPモルガンのエコノミスト、ダニエル・シルバー氏は「第4・四半期に在庫が急速に積みあがっており、在庫が今後、成長の逆風となる公算が大きい」と話した。

 

住宅投資は3.5%減と4四半期連続で落ち込んだ。住宅ローン金利の上昇や用地・労働力不足、輸入木材への関税の影響で住宅建設は低迷している。

 

政府支出は0.4%増と、17年第3・四半期以来の小幅な伸びにとどまった。非国防投資が5.6%減り、5年ぶりの大幅な落ち込みとなった。政府機関一部閉鎖の影響を反映した公算が大きい。

 

GDP統計は1月25日まで続いた政府機関の一部閉鎖の影響で遅れて発表された。商務省は政府閉鎖の影響について、完全に数値化することはできないとした上で、「連邦政府職員によるサービスの提供が減ったほか、国防以外の機関がモノやサービスの中期的な購入を減らした」ことで、第4・四半期GDPを0.1%ポイント押し下げたと試算した。また、第4・四半期GDPは「不完全なデータを基にしており、データが改定される可能性がある」とした。

 

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