2019/02/12

楽天・2018年度本決算で三木谷浩史が語ったこと


売上、営業利益ともに過去最高を更新

2019年2月12日、楽天(東京都/三木谷浩史会長兼社長)は2018年12月期の決算説明会を開いた。
売上収益は対前期比16.6%増の1兆1014億円で、初めて1兆円を突破。営業利益、当期利益もそれぞれ2ケタ増の1704億円(同14.1%増)、1418億円(同28.4%増)となった。売上収益、営業利益は過去最高を更新した。一方、「楽天市場」や「楽天トラベル」を含む「国内EC事業」は売上収益1221億円(同15.5%増)、営業利益138億円(同27.3%減)と増収減益となった。
何が楽天の業績を牽引したのか。また、楽天は今後、どのような成長戦略を描いているのか。決算説明会で三木谷浩史会長兼社長の話をまとめた。

取材・文=高浦佑介(ダイヤモンド・チェーンストア)

楽天 三木谷浩史会長兼社長
楽天の三木谷浩史会長兼社長

楽天エコシステムを軸に4つの注力事業

「2018年度のハイライトを説明させていただきます。グローバル流通総額は15.4兆円、国内EC流通総額(楽天市場やトラベルなど)は3.4兆円、とくに第四四半期は大きく伸びました。」

 

「カード、銀行、証券についても金融でのシナジーが出てきています。口座数など好調に伸びています。われわれは楽天エコシステムというものをつくってきました。会員の価値というものを色々な角度から算出した『メンバーシップバリュー』は、17年度末の4.1兆円から18年度には4.6兆円に伸びました。」

 

「われわれの注力事業は、ID、ブランド、ポイント、データを最大限活用し、コマース、フィンテック、モバイル、広告、この4つを柱とします。」

携帯事業参入は最後発の利益を享受

 「モバイル事業は先行している企業と同じことをしても意味がない。最後発のメリットを享受したい。昔は先行者の有利と言われていたが、技術の発達速度がすさまじい今、後発者もメリットを享受できるようになっています。他社よりも投資も少なく済むし、アジャイル型の開発もすることができます。」

 

「また5Gの時代もきます。従来からの携帯企業は一からネットワークをつくらないといけないが、われわれは5Gを前提にネットワークを構築することができるようになります。
数分の1ではなく、10分の1、それ以下の人数でこの事業を実現する。設備投資、ランニングコストも抑えることが可能です。」

 

「(携帯事業を開始するに当たって、)基本的な技術的な問題はクリアしました。あとは、さまざまな場面で正常に動作するかどうか実証していきます。19年10月の段階ではすべてをまかなうのではなく、KDDIさんと組んでやっていきます。物理的な検証過程をこれから重要なポイントと捉えてやっていきます。」

 

「携帯事業の世界的大企業のCEOと話していてもわれわれも新事業に興味を持ってもらっています。ただ、海外に出るにはまずは日本で成功させてから。展示会『モバイルワールドコングレス2019』でシスコシステムズのCEOと一緒にプレゼンをする予定です」

ペイメント事業、中間持株会社を新設

新たな買物体験イメージ
決算説明会の中で、三木谷会長が流した動画のキャプション。「楽天ペイ」を軸とした新たな買物体験をイメージしている。

 

「決済事業については、『楽天ペイメント』を設立します。楽天ペイ、楽天エディ、楽天ポイントを統合した中間持株会社です。」

 

「ご存知のとおり、楽天が持つ2つのスポーツチームのスタジアム(楽天生命パーク宮城、ノエビアスタジアム神戸)で、完全キャッシュレス化を推進します。現金の使用不可で、これは世界初となります。将来、キャッシュレスが進む中で、実際現金が使えなくなったらどうなるか、という実験の意味もあります。」

 

「楽天ペイ、楽天エディ、楽天ポイントを統合すると、スマホ決済対応箇所は約300万となります。」

拡大する物流戦略 「置き配」で革命を

「物流事業については、サイズ(流通総額)が大きくなってから成長率を上げるのは難しくなるのですが、第4クオーターは13%と2ケタ成長になりました。物流基盤の構築が楽天市場の拡大にもつながります。」

 

「物流拠点の拡大にも取り組みます。物流の専門会社の関通と資本業務提携と行うことで、兵庫県尼崎市に『楽天スーパーロジスティクス』を設立し、物流拠点を新たに運営もいたします。首都圏、大阪エリアでは、配送可能なカバー率も上がってきています。国内全体で物流網を拡大しており、人口に対する配送可能エリアのカバー率は19%となりました。」

 

「不在再配達を解消する『置き配』サービスによって、配送にも革命を起こしたいと思っています。また配送料は全国統一にしたいと思っています。具体的な金額についてはまだ決まっていないですが、これにより消費者の利便性を向上させたいと思っています。」

 

楽天市場を含む国内EC事業が減益となった点は憂慮すべきことだが、それでもペイメントや金融事業など楽天経済圏という強固なエコシステムで成長を実現した格好だ。

 

金融部門が大きく伸び、初めて1兆円を超えた。2014年8月撮影(2019年 ロイター/Yuya Shino)
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