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メルカリ、暗号資産取引を来春開始=「採掘」の排出CO2は相殺―青柳上級執行役員

 フリーマーケットアプリ大手メルカリは来春、アプリから暗号資産(仮想通貨)「ビットコイン」を取引できるようにする。扱う暗号資産の種類は今後増やし、将来的にはデジタル資産「NFT(非代替性トークン)」の取引市場などブロックチェーン技術を活用した新たなサービスの開発につなげたい考えだ。

 「採掘」と呼ばれるビットコインの取引承認には大量の電力消費が伴うため、脱炭素社会への移行に逆行するという指摘もある。メルカリの青柳直樹上級執行役員は10日までにインタビューに応じ、暗号資産取引に応じてカーボン・クレジットを購入するなどの形で二酸化炭素(CO2)の排出量を相殺することを検討していると明らかにした。主なやりとりは次の通り。

 ―決済に暗号資産を導入する考えは。
 現時点で準備をしていない。あくまで決済は円でやっていく。暗号資産を決済に使うと、税務処理などの問題が発生するし、決済通貨としてはボラティリティが高い。利用者には資産運用目的の金融商品として案内するのが適している。中期的には、価値が落ち着くものやステーブルコインは(決済利用が)視野に入ってくる。

 ―暗号資産取引は大量の電力を消費を伴う。
 まさにわれわれの中でも会社として取り組む事業なのかという議論をしてきている。海外ではビットコインの取引に応じてカーボン・クレジットによるオフセット(相殺)をしている事業者もいる。日本ではそういう事例はないが、われわれとしては検討している。今後取り扱う暗号資産の選定に当たってはより持続可能な仕組みなのかも検討要素として採り入れたい。

 ―1200万超の本人確認済み口座のうち、暗号資産の取引口座の開設目標は。
 具体的にターゲットとして申し上げられるものはないが、大手業者で100万~200万口座くらいなだ。それを上回っていきたい。ポイント運用は、株式など通常の資産運用よりも敷居が低い。高額取引ではなくポイント運用からでも始めてもらえるという形を考えると、他の事業者より利用者数は伸ばしていける。

 ―クレジットカードと暗号資産取引の次のフィンテック事業は。
 当面は発表したものを育てるところにフォーカスしたい。最初はビットコインやイーサリウムから始まるが、NFTなどの取引に及んでいったときに、金融サービスなのか、Eコマースなのか、分からない領域が出現する。マーケットプレイスに投資して、金融規制対応もそろえて、ようやくブロックチェーンベースのマーケットプレイスを手掛けていける。そこへの挑戦権を得たいという思いが強い。

 ―NFTなど「Web3(ウェブスリー)」の広がりをどうみるか。
 オンラインの世界だけで成立している経済が着実に大きくなっている。メルカリが扱っていないようなタイプの取引が増える中で、マーケットプレイスが変わっていかないと、気が付いたらメルカリが取り残されていることもありうる。われわれとしては「Go Bold」(大胆)に取り組んでいきたい。