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【米ウォルマート】第1四半期のEC売上高33%増、先行投資もあり営業減益に

 米ウォルマートが発表した2019年1月期第1四半期(2月から4月)の業績は、米国内のEC(インターネット通販)売上高が前年同期比33%増となるなど売上高は堅調に伸びたものの、EC関連の先行投資や価格訴求強化による粗利率の低下などもあって営業減益となった。

 

 サムズ・クラブ事業の会費収入を含む営業収益は前年同期比4.4%増の1226億ドル、営業利益は1.6%減の51億ドル、純利益は29.8%減の21億ドルだった。

 

 米国事業の既存店売上高は2.1%伸びたが、粗利率は0.23ポイント悪化した。2月から最低時給を1ドル引き上げて11ドルとするなど従業員の待遇改善への投資などで販売管理費が増え、営業利益は3.1%減の39億ドルとなった。米国では生鮮を含む食品宅配サービス「オンライン・グロサリー・デリバリー」を年内に約800店舗に拡大、オンラインで注文した商品を店頭で受け取る「オンライン・グロサリー・ピックアップ」の対応店舗も年内に1000店舗以上増やして約2100店舗超に広げる計画。また、商品受け取り用宅配ボックス「ピックアップ・タワー」の設置店舗も現在の約200店舗から年末までに700店舗に増やす。こうした投資によって第1四半期のEC売上高は前四半期の23%増に比べて、10ポイント伸びた。通期では40%増を見込んでおり、先週はEC用ウェブサイトと専用アプリのリニューアルを実施した。ただ、先行投資がかさんでいるため、現時点では利益を圧迫している。

 

 国際事業は為替がドル安で推移したこともあって、売上高は11.7%増の302億ドル、営業利益は11.1%増の12億ドルだった。為替変動の影響を除くと、売上高は4.5%増、営業利益は0.2%増だった。国際事業では英国子会社アズダを同国のスーパーマーケット大手、セインズベリーと経営統合することで合意、19年度下期に統合を完了する予定だ。ウォルマートは統合後の新会社の株式の42%を保有するが、経営の主導権はセインズベリーに移る。一方、約160億ドルを投じてインドのEC最大手フリップカートグループの株式の77%を取得することを発表しており、新興国へのシフトを進める。

 

 中国では資本・業務提携している京東集団(JD.com)との連携を深めている。4月には深センにウォルマートとして中国で初めてとなるスーパーマーケット業態を出店したが、京東集団の食品通販サイト「京東到家(JD Daojia)」とプラットフォームを共通化、京東到家で注文した商品をウォルマート店舗から近隣住民に30分以内に配達する。京東とのプラットフォーム統合によって1時間以内に配達できるウォルマート店舗は中国で177店舗まで増えている。