雇用減速の兆しも=FRBは利上げ路線堅持―景気後退懸念根強く・米

時事通信
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ニューヨークの街を歩く人々
3日発表された5月の米雇用統計では、「非常に強い」とされてきた米国の労働市場の勢いに減速の兆しが見られた。(i-stock/Rawf8)

 【ワシントン時事】3日発表された5月の米雇用統計では、「非常に強い」とされてきた米国の労働市場の勢いに減速の兆しが見られた。もっとも、求人が過熱した状態であることに変わりはなく、中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は積極的な利上げで需要抑制を目指す。こうした中、急速な金融引き締めによる景気後退への懸念が一段と深まっている。

 「安定成長へのシフトが始まっている兆候だ」。バイデン米大統領は雇用統計を受けた記者会見で、過熱の収まりに期待をにじませた。景気動向を占う非農業部門の就業者数は5月、季節調整済みで前月比39万人増。月平均で約60万人増だった年末年始ごろと比べ、減速傾向がうかがえる。

 雇用の伸びは落ち着きつつあるとはいえ、失業者1人に対する企業の求人は約2件と「しばらくなかった高水準」(パウエルFRB議長)にある。労働需給の逼迫(ひっぱく)は賃金の大幅上昇を引き起こしており、物価高に歯止めがかからなくなる恐れが取り沙汰される。

 米経済は新型コロナウイルス禍から力強く回復した。だが旺盛な需要に対し、人手不足も重なって供給が追い付かず、物価高騰を招いた。インフレ封じ込めが「経済における最優先課題」(バイデン氏)に浮上しており、FRBの金融引き締めが需要抑制のカギを握る。

 一方、市場では過度な引き締めで景気悪化を余儀なくされるとの観測が日増しに強まっている。米金融大手JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者は1日、米経済に「ハリケーンが迫っている」と、警鐘を鳴らした。

 FRBの金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)のメンバー、クリーブランド連邦準備銀行のメスター総裁は3日、テレビインタビューで「ハリケーンを予想していない」と強調する一方、「景気後退のリスクが上がっていると認識する必要はある」と認めた。

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